21話 やりたいこと
「はぁ……はぁ……はぁ……」
そらがくらいのは、よるだからだろうか。それとも、もうめがきのうしなくなったからだろうか。
「しぬのか……」
「いいえ?死にませんよ」
じめんにたおれたぼくをのぞきこんでくるかおがある。ぼくのめはぶじということか。
だけど、いのちまでぶじとはいかないみたいだ。
「貴方は私の煎餅作りの礎になるのですよ」
きいろぱぷりかちゃんがいって、びしょうをたたえた。ほんとうに『みためだけはおいしそうなこだ』とおもった。
「ははっせんべいか。みずまぜごはんのまましょくせいかつをおえるよりは、ましかもね」
「あはっ!はぁ……もしかして勘違いしてるんじゃありませんか?」
「なに?」
「“礎”ですよ。つまり実験材料。貴方自身が煎餅になるわけじゃない。水混ぜご飯が煎餅という神聖な食べ物になれるはずがないじゃないですか。貴方の体液を抽出し、健康な米に適量を練り込むことで美味しさを増すのです」
ぼくはあきれてしまった。
「なにをいっているのかわからないなあ」
「まあ、凡米には分からないことです。それにしても、何故貴方がわざわざ私の店に?それも、“襲撃”に来るなんて」
「さあ?なんでだろうね」
「水混ぜご飯などという下品極まりない糞飯になって、体液という強力な武器を得たとはいえ、米を乾燥させる設備の整った当店にやってくるだなんて、愚かですね」
たしかに、このみせはすいぶんたっぷりのぼくとはあいしょうさいあく。でも、ぼくだってただやられたわけじゃない。
せつびのおおくをみずびたしにし、しょーとさせる。はかいにせいこうした。
きいろぱぷりかちゃんにあやつられたかわいそうなせんべいたちも、たましいをきゅうさいすることにせいこうした。
だけど、さいごのいっしょく。『のりせんべい』が、しんじられないほどつよかった。
ぼくはのりせんべいにまけ、みせさきにふっとばされた。もううごくことすらできない。
せんべいづくりのいしずえになりたくはない。しぬのだって、できることならかいひしたい。
でも、ここへきたことに、こうかいはない。
「ここをしゅうげきしないぼくより、しゅうげきするぼくのほうがおろかじゃなかった。それだけだよ」
あざます
次は明日投稿です
 




