表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おこめくんは茶碗入りしたい  作者: 高端 朝
水分過多編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/28

18話 完成

「おい、起きろ」


頬を叩かれ、おこめくん……否、水混ぜご飯くんは目を覚ました。


何日眠っていたのだろう。陽の光が穿いて、瞳にジワと痛みを感じた。


「んん……きみは?」


「俺だバカ。寝ぼけてんな」


光に滲んだ視界が晴れて、馴染みの顔が姿を現した。


「ちゃーはんくん……」


「よお、随分やられたな」


「…………」


己の身体を見やり、水混ぜご飯くんはため息をついた。


「ぼくはみずまぜごはんくん。いつか、おいしいおんなのことおなじちゃわんにはいるのがゆめ」


いつもの彼の自己紹介にも、心なしか力がなかった。それもそうだろう。彼の心には闇がかかっている。光の届かない海の底のような、深い闇が。


「落ち込んでるとこ悪いが、お前にはもっと落ち込んでもらわないといかん」


「なに?」


「水混ぜご飯、お前な……もう茶碗入りは無理だ」


「え……」


彼の心を、切り裂くような痛みが走った。


薄らと、心の奥で分かっていた。めろんくんに敗北し水混ぜご飯となった彼は、もうこれ以上別の食べ物になることはない。


「水混ぜご飯、お前は“完成”してしまったんだ」


故に、どんなに美味しい女の子がいたとしても結婚……茶碗入りはできないのだ。


「そんな……そんなことって……」


「残念だったな。せいせいするよ、テメェのようなバカなライバルが消えて」


「う……うう……うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


「おっおい水混ぜご飯!!」


「その名で呼ぶな!僕はおこめなんだ!どんな食べ物とも合う最高の食材なんだ!ラーメンか餃子、麻婆豆腐としか合わないような炒飯が話しかけるんじゃない!死ね!」


「言い過ぎだろ!」


「うるさい!」


「待て水混ぜご飯!水混ぜご飯にも水混ぜご飯なりの生き方ってやつがなぁ……」


「連呼するな!この僕をバカにしてるな!ちくしょーーーー!!!!!!」


ちゃーはんくんの言葉に耳を貸すこともなく、水混ぜご飯くんはどこかへ去っていってしまった。


「あのバカ……ライバルの情けで助けてやったってのに恩を知らん奴……」


あざます

13日に次を投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ