14話 戦い/Fight
「まさかほんとうのてきがいま!まさにめのまえに『たっていた』とはね……!」
「まぁ、はは。そうなりまぁすねぇ」
へらへらしていてほんとうにきもちがわるいなぁこのたべものは。
いまぼくはきゃばくら『ふぇいるのーと』にきている。せいかくにはかたかなだけど、ぼくはひらがなしかつかわないからそちらでかってにやくしてほしい。
「……で?ぼくのなまはむはかえしてもらえるんだろうね、まおとこくん?」
めのまえでいすにすわる、すかしたこのおとこ『めろん』はぼくにほれていたなまはむちゃんとむりやりけっこんしたあくまだ。
かのじょをかならずとりもどす。それがおっとのやくめだ。
「彼女は誰の物でもありませぇんよ」
「ふむ?」
どういういみだろうか。
「貴方は何か勘違いしているようでぇすね。結婚とは、『相手を自分の物にする』ことではありませぇんよ?」
「だまれっ!きさまぼくのなまはむをうばっておいてなにをえらそうに!」
たちあがってつくえをたたく。するとめろんはすこしためいきをついてたわごとをはく。
「だから、彼女は誰の物でもありませぇん。この仕事は話の通じない食べ物を相手にしなければいけないのが大変だ。まぁ、文句ばかり言ってはいられませぇんね」
「ぼくにたてつくつもりなの?」
「そう……でぇすね……はい。盾つこうと思いまぁす」
「なっなっなんだと!?」
このおとこいかれているのか!?
『おきゃくさま』は『かみさま』なんだぞ!?!?
「私としても、以前から妻に相談を受けていた迷惑客がこのような形で来たとなると……戦わない選択肢はありえませぇん」
「きゃくとたたかうつもりか……!?」
「いいえ?貴方はもう『お客様』ではありませぇん。『出禁』でぇすからね」
「あっ?」
できん?なにをいっているんだこのめろん!?
い、いずれにしてもほんきみたいだ……。
「くっ……」
「さて、どう戦いまぁすか?……味?糖度?それとも……拳?」
「あっあっ」
「なんであれ、私は負けるつもりはありませぇんがね」
「あぎゃ」
「拳……がよさそうでぇすね。私、そう戦いたいでぇすから」
「わっっ……やめっ!……きょうはこんなところにしておいてやる!!!」
ぼくはみせをあとにした。
なんというばんぞくだ、あのめろんとやら。
ぼくはぼうりょくをつかうのがきらいなんだ。なんせ、ぼくはしんせいなたべものだからね。
「ふぅ……きょうはいいことをしたな」
あのばかなめろんのからだをはかいすることはできたが、それはかわいそうだからね。
やめておいてあげたよ。
さあて、あいつとはおはなしにならないから、なまはむちゃんにちょくせつはなしをききにいかなきゃ!
ぼくとふたりきりならきっと、めろんにはいえないような『ほんね』がきけるにちがいない!
ありがとうございました
2024年が終わりますね
私は終わりません




