表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おこめくんは茶碗入りしたい  作者: 高端 朝
ぱりぱり編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/28

10話 ライス・オブ・ライフの刺客

あさ、めがさめる。いや、せいかくにはねむろうととじたまぶたをひらいたといったほうがただしい。


「ねむれなかった……」


きのうまちのいたるところできいた「ぱりっ」というおとがあたまのなかでこだまする。


あれはなんだったんだろう?


「きょうはそとにでるきぶんじゃないな。いえでやすもう」


つぶやいて、ふとんからでる。ふとんはじめっとしめっていて、きょうふにたくさんのあせをかいたことにいまきづいた。


「はぁ……」


ためいきをついて、かーてんをあける。すると、まどのそとはまっくらだった。


「ぱりっ」


「ぎぃやあああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」


おぞましいおととともにくろいなにかがめにとびこんできた。


そとがくらいんじゃあないぞっ!なにかが、くろいなにかがまどに“はりついて”いるんだっ!


いそいでとびのく。するとくろいなにかはまどをあけ、へやにはいってきた。


「ぱりっ」


「お、おおおまえはだれだっ!!」


といただすとくろいなにかがくちをひらいた。


「ぱりりっ。ワタシはのりちゃん、みてのとおりののりでごさいます」


そう。やつはしょくようのそうるい、『のり』をかこうしたいわゆる『やきのり』だったのだ!


「ぱりっぱりりっ。お迎えに上がりましたおこめくん。貴方は栄光ある『ライス・オブ・ライフ』による調理対象に選ばれたのですよ」


「『らいす・おぶ・らいふ』だって?なんだそのそしきは!」


「平仮名ではごさいませんよ、ぱりりっ。ワタシはライス・オブ・ライフの幹部。貴方を『おにぎり』にするため馳せ参じました」


「なっ、なんだって!?ぼくをおにぎりに!?」


そんなっ!?そんなおそろしいことを!?


「ふざけるなっ!ぼくはおちゃわんにはいらないたべものになるつもりはない!かえれおとくようやきのりめ!」


「強情な方ですねぇ。おにぎりになることは全米が泣くほど素晴らしいことなのに……仕方ありませんね……では参ります!」


そういってのりちゃんはつっこんできた!


「うわぁ!」


なんとかかいひしてへやのとびらをめざす。


ここからにげないと!


「させませんよ、ぱりりっ!」


「ぎゃあ!」


のりちゃんがみずからのからだをすこしやぶり、はへんをなげてきた!


そしてそれはどあのぶをめざすぼくのてにつきささる!


「いたぁい!」


「ぱりりっぱりりっ」


いたみにふるえるてをおさえ、なんとかいえをでる。


しかしながらのりちゃんのこうげきがやむことはなく、ぼくははしった。


「はぁっ……はぁっ……!にげなきゃ!にげなきゃ!おにぎりになんてなりたくない!」


はしってはしって、ころんだりしながらはしって、ひとつのおみせをみつけた。


「こ、ここにかくまってもらおう!」


おみせにはいると、あさのかいてんじゅんびをしているたべものがいた。


「き、きみはっ!」


「おや?まだ店を開いてはいないのですが……」


「きいろぱぷりかちゃん!」


そう。ここはせんじつはだをやこうとおとずれ、けっきょくやめたせんべいやだったのだ!


「こ、このさいきみでもいい!たすけて!」


「どうかされましたか?」


きいろぱぷりかちゃんはふだんのふんいきをこわさずおちついたようす。


「『らいす・おぶ・らいふ』ののりちゃんとかいうやつにおそわれたんだ!」


「ふむ、『ライス・オブ・ライフ』ですか……」


いわかん。きいろぱぷりかちゃんのことばにぼくはいわかんをおぼえた。


なんだ……?いわかんのしょうたいはなんだ?


わかったぞ……。


「…………いま、かたかなをつかったの?」


「おっと、私としたことが……」


ぼくは『らいす・おぶ・らいふ』がかたかなめいのそしきであることをつたえていない。


にもかかわらずきいろぱぷりかちゃんはかたかなをつかった。


「きいろぱぷりかちゃんまさか!」


「そう。私こそ『ライス・オブ・ライフ』幹部、『黄色パプリカ』です」


おそろしいことに、ぼくが『らいす・おぶ・らいふ』のしかくからのがれようとはいったおみせのてんしゅが、まさに、『らいす・おぶ・らいふ 』のかんぶだったのだ!


「そんなっ!」


「ですがご安心ください。私はのりちゃんのような野蛮食ではないんです。おにぎりなどという下品な食べ物に貴方を調理するようなことはありません」


「ほっ……」


あんしんした。のりちゃんがいかれていただけで、そしきそのものはあんぜんなんだ!


とおもったのもつかのま。つぎのきいろぱぷりかちゃんのことばに、ぼくはせんりつする。


「貴方はおにぎりではなく……煎餅になるのが相応しい」


「えっ……?」


いつのまにかぼくをかこんでいたたべものたちにとりおさえられ、ぼくはひきずられた。


「やっ!やめろぉ!」


ぼくをひきずるのはこのおみせでやかれたとおもわれるせんべいたち。みないちようにほうけたひょうじょうをしていて、いしがないことがわかった。


みんな、きいろぱぷりかちゃんにやかれ、せんのうされたのだ。


「たすけて!たすけて!」


ぼくはさけぶ。だれにでもいいからとどいてくれと、さけんだ。


「とぉーーーう!!」


「ぎゃん!」


ねがいがとどいたのか、おみせにだれかがにゅうてんし、せんべいたちにとびげりをくらわせた。


かいほうされたぼくはきゅうせいしゅのかおをみる。


「えっ……!」


「おい大丈夫か?……ゲっ!」


そのたべものは、


「ちゃーはんくん!?」


「おこめ!?」


そう、このまえぼくとなんぱたいけつをおこなったちゃーはんくんだった。

読んでくれてサンキュな☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ