第7話 クロデ家にこんにちは
カーペットを敷き家具家電を配置する。駐車場に戻って、車から洋服や数点の食器を持ってきて、洋服は部屋に造り付けのクローゼットがあるので持ってきた袋のままそこに置いた。今度カーテンと引き出し付きの洋服の収納と、食器を片付ける棚が必要だね、と、足りない物を、数えながら引越しが終了する。
夕食は3人で外食することは伝えてあった。事務所のクロデ夫妻に挨拶をして、食事を済ませて戻る。
事務所の横手に住居用の出入り口があり、教えてもらった通り、そこのチャイムを押して、帰宅を告げる。
2階から、クロデ夫妻が降りてきくる。もう一度、クロデ夫妻と樹両親がどうでもいい会話を交わしたあと、樹の父と母がそれぞれに、頑張って、と新生活を応援する言葉を娘に送った。最後にもう一度クロデ夫妻によろしくお願いしますと二人揃って頭を下げて、小さな後ろ姿を見せて並んで帰っていく。
自分の方が実感を出て来たたいうのに、置いていかれた感が急に湧き起こった。
クロデ夫妻の後について、慣れない階段を登っていく。なんとなく切ない。
3階の樹の部屋に行く前に、クロデ夫妻が途中のドアをノックした。顔を覗かせたのは、昼間いなかった高校3年女子だ。クロデ夫妻に紹介されて、樹は頭を下げた。
しっかりと化粧をしているのに驚いたが、樹のいた地域より、こちらは都会だ。高校3年生なら、そういうものなのかもしれない。どこまでが化粧の力かわらかないが、割と可愛い顔付きの女の子だった。つけまつげは絶対付けてる。あと、髪染めてる。パーマか、自分でセットしたのかわからないけど、緩く巻いたセミロング。チラッと見えた黒い爪は何かに挟んだわけじゃないよね。マニキュア?そして、多分、標準より20キロくらいオーバーしてるんじゃないかと思われる体型をしていた。
高3女子はちょっと剣のある目で樹を見ると、顎だけ上下するような挨拶も寄越して、素早くパタリとドアを閉めた。
クロデ夫妻は、娘に何か言いたげに口を開いたがすでにドアは閉じられている。開けた口からため息が漏れ、やれやれと言った空気が夫妻の間に流れた。