迷宮を先へ
そして、次の日からあたしたちは本格的に迷宮を下り始める事にした。誰も飲み過ぎてないのでコンディションは万全だ。
あたしたちは迷宮の入り口へと向かう。街の中央広場の真ん中にある、大きな地下に続く穴。その前に屹立している冒険者ギルドの建物『墓石』。まるで、巨大な石廟の中に降りて行ってるかのようだ。数多の冒険者がここから下り、そのうちの幾人かは戻って来なかった。墓石と呼ばれているのは、ギルドの建物が戻らなかった者たちの墓標に重ねられているからかもしれない。あたしたちは穴に足を踏み入れる。道の両脇にはかがり火が焚かれている。道はなだらかなスロープなので歩きやすい。
ここでは入る者はあたしたちから見て左手、帰って来た者は右手を歩くしきたりになってる。入り口は南に口を開けていて、穴の東の方は帰還者狙いの屋台がちらほら建っている。
ほどなくして洞窟を進むあたしたちの行く手は巨大な金属の扉に阻まれる。その横には人1人やっと通れるような通用口がある。ここで迷宮から溢れ出た巨大生物を食い止めるようになってる。
あたし達は通用口を通り迷宮に踏み出す。
扉をくぐりしばらく進むと、石造りの大広間に出る。
部屋の奥の正面にはまた大きな金属の扉があり、その隣にまた普通サイズと思われるドアが付いていて人が並んでいる。地下1層への通用口だ。左右の壁近くには煌々と光る魔法陣があり、右手には行列が出来ている。右手は地下へのワープポータル、左は迷宮から帰還のワープポータルだ。あと、様々な露店も出ており、割高だけど、買い忘れた物の調達や食事も出来る。
「早く、ポータルでショートカットしたいものだな」
アストリアさんが呟く。あたしたちは右のポータルで地下25層まではワープ出来るけど、この迷宮のポータルは通った者しか利用出来ない。アストリアさんは来たばっかりだから、彼に合わせて1層から順番に攻略していくしか無い。
「そうだな。アンタとならすぐに俺たちの探索エリアまで行けるさ」
ダンが言う通り、アストリアさんとならすぐに地下25層まで到達出来そうだ。
ワープポータルは5層おきにあり、ポータル部屋は基本的に安全地帯で、ギルドが設置した有料のトイレと水場がある。迷宮都市には比較的女性の冒険者が多いって言われているけど、この便利さのおかげだと思う。
そして、真っ直ぐ進み、地下1層への通用口をくぐる。
それから地下5層までは破竹の勢い。まあ、出てくる魔物はスライム君だけだしね。ポータルで一度地下中1層まで戻ってきて、また先に進む。けど、ここからは地獄だ。あたしとリコッタにとっては……
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