槍
「あいつ、なかなかやるな」
ダンがあたしに小声で話しかけてくる。
「ほんとね。全く危なげないわね」
バルもあたしたちの会話に加わってくる。
「ガハハハハッ。あの動きは、最終形にはいっとるな。多分、広いとこだったら、わしら四人ががりでも、受けにまわられたらしのがれそうじゃぞ」
嬉しそうに頭をペチペチしてる。もしかして、ジューンが一緒なら、あたしたちの迷宮の踏破記録を伸ばせるんじゃ? 追放して覚醒させなくても十分に強いんじゃないの?
あたしたちは、軽く打ち合わせして、迷宮に踏み込んだ。まずは、ジューンの到達階層をあたしたちに近づけるためだ。あたしたちはワープポータルで中層まで移動できるけど、各々通った事がある階層までしかポータルでは移動できないから、こういう風に途中参加メンバーがいる時には、面倒くささいけど、地下一層から降りて行くしか無い。
ジューンの武器は槍。しかも自分の身の丈より長い。三メートルはあるんじゃないかしら。迷宮ではその取り回しの不便さから長柄武器を使う者は居ない。狭い通路で戦闘になった時に邪魔になるからだ。柄が短めなショートスピアを使ってる人は見た事あるけど。だけど、あたしは今までの常識は間違いだったと思う。さっきからジューンは先頭で現れたスライムをただ突き刺している。一匹たりとも近づかせてない。ジューンが全てを退治して、あたしたちはそのドロップを拾うだけ。
さっきバルが最終形っていってたけど、それは冒険者用語で、武器の扱いがこれ以上ないってくらいに習熟されてるって意味。武器をずっとずっと使い続けてると、その武器の重さ、形態が体に馴染み最適な動きが出来るようになる。それからさらに使い続けると、無駄な力が抜け最小限の力で最大の効果が出せるようになる。それを冒険者たちは、最終形になったと読んでいる。武に少しでも身を置くものがいいなってならば、それはすぐに見てわかる。最終形になったら、自然なフォームで美しささえ感じる。個々人の体は構造が違う。だから、最終的なフォームは自分で掴むしかない。だから、最終形に至るためには、ただ修練しかない。また見事なジューンの突きがスライド穿つ。まるで普通に歩いてるかのような動き。全く無駄な動きがない。この人今までどれくらいの数のものを槍で突き刺してきたのだろうか?
リコッタですら、一言も文句言う事なくその動きに見とれている。
長槍を使うっていうのもアリかもしれない。多分この戦い方なら駆け出しの冒険者でも危うげなくいけそうだわ。
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