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 わがままディナー 2


「あいよ」


 あたしたちの皿にギン爺が串を二つづつ置く。鶏皮と鶏モモだ。


「おっ、親父わかってるな。やっぱファーストアタックは鶏皮だろ」


 ジューンが勢いよく鶏皮を口にして、サケで追っかける。


「おいっ。何やってんだよ。耳長」


 リコッタがお箸で串の肉を皿に外してるリコッタに絡む。また耳いじりしてるし。


「お前なー。焼き鳥つーもんはよ、そのまま食うのがスジってもんだぜ。よーく考えてみなよ。それって大将が毎日毎日必死で串に刺したもんなんだぜ。それを外して食ったら大将怒るだろ」


 サケのグラスを手に力説してる。


「いや、別にいいが」


 ギン爺即答。


「嬢ちゃんは、ほら、口がちっちぇーからな。そのまま食ったら口にタレついたり、喉突いたりするだろ。俺は別に気にしねーよ」


 嘘だ。リコッタが可愛らしいから何も言わないだけで、兄ちゃんやオッサンが同じ事したら多分店から叩き出されてる。


「ならいいけどよー」


 ジューンはまだ何か言いたそうにリコッタの皿をチラチラ見てる。好きに食べさせてあげなよ。リコッタは無表情で肉を口に運んでる。けど、そのすまし顔に少し優越感がにじみ出てる。あたし勝ちました的な。


「それにしてもうめーな、親父」


 ジューン、鶏モモも一気にいったよ。あたしも串を口にする。さすがにあたしは、焼きたては熱すぎる。こう見えて猫舌ぎみなのよね。うん、美味い。なんか同意するのはしゃくだけど、あたしもまずは鶏皮派だ。しかもパリパリ派。ここのは香ばしくパリパリで美味い。炭火より魔道コンロの方が焼き鳥は簡単に焼けて美味しいって言う人もいるけど、この炭火のスモーキーな味は最高。ついつい、次に焼かれてる肉に目がいく。串から落ちた肉汁から煙が出て、それを受けて肉に香りがついている。それだけで弱い時には炭に油をかけて炎をだして炙っている。


「なぁ、親父、その上手く焼ける秘訣みてーなもんあるのか?」


「そうだな。手を入れ過ぎねー事だな。いじればいじるほど、煮えたようになっちまう。煮えると不味い。女と一緒だな。手を入れすぎたり、いじり過ぎたら上手くいかねー」


「女に手を入れる? いじり過ぎる? おいおい、大将、下ネタは勘弁してくれよ。彼女らと俺様は今日会ったばかりだ。気まずくなっちまうだろ」


 気まずくなる? そんな感情あるなら、間に無理矢理入って座るなよ。それに大将がいつ下ネタ言った? そうとらえてるのはアンタの心が汚いからだよ。大将、やんわりとリコッタをいじり過ぎって諭してるのに気づいてないんかコイツ……


 読んでいただきありがとうございます。


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