わがままディナー 1
「ねぇ、あいつ大丈夫なの?」
リコッタがあたしに耳打ちする。
「う、うん」
多分大丈夫だと思う。あたしたちなら上手くやってけるはず。
ここは焼き鳥屋さん。大通りから一つ外れた、よく言えば老舗、歯に衣着せないならこ汚い店だ。なんか机がベタベタするようなのは気のせいじゃないだろう。『焼き鳥屋シルバー』これでも知る人ぞ知る迷宮都市の人気店だ。対面式のカウンターの前で店主自ら炭火で焼いてくれる。屋根がある屋台だけど、風向き次第では煙が直撃してくる。主の名は『ギンジ』と言うらしく、みんな『ギン爺』と呼んでいる。多分結構歳いってると思うけど、細くしまった鍛え上げられた体とよく喋るから若く見える。
ジューンは多分お手洗いに立ってて、ギン爺が目の前で頼んだものを焼いている。焼き鳥屋だけど、ホルモンの種類が多いくてリーズナブルなのも人気の一因。
ランドリーで会ったあたしたちは、その後待ち合わせて夕飯を食べに行く事になった。リコッタもついてきた。リコッタが「パスタ食べたいなー」とか言ってたけど、ジューンが「パスタぁ? んなもん晩飯になるかよ、食ってもすぐ腹減るだろ」と、斬り捨ててた。あたしも休日だから体動かさないから軽いものがいいなって思ってた。そして、しばらくウロウロして、美味しそうな匂いに引き寄せられて、ジューンはこの店を選んだ。ここら辺には他にも屋台が並んでるけど、肉食いたい気分とか言ってた。
「待たせたな、親父、サケだサケ三杯」
ジューンがあたしとリコッタの間に座る。リコッタが嫌そうに場所を空けながら呟く。
「エールがいい……」
「贅沢言うな耳長、焼き鳥と言や、サケだ」
何よその自分ルール。誰が何と言おうと、乾杯はエールでしょ。あーあ、リコッタ怒ってる。耳が小刻みにプルプルしてる。リコッタはハーフエルフで昔苦労したらしいから、耳いじりは禁句なのに。
「あいよ」
ギン爺が出してきたコップをあたしたちは手にする。
「「かんぱーい」」
あたしたちはグラスをチンとぶつけ口にする。またリコッタの耳がピクピクしてる。リコッタはグラスを高く上げたのに、ジューンがグラスを下げなかったから、ジューンのグラスの位置の方が高かったからだ。まあ、ジューンの表情は微塵も変わらなかったからきにしてないだけだと思うけど。
「ゲホ、ゲホッ」
リコッタが煙の直撃をうけて咽せている。頭直撃だから髪しっかり洗わないと臭いとれなさそうね。あたしも何回かくらってるから、多分煙り臭い。
あてのキャベツを食べながらサケを飲む。辛口。確かリコッタはサケは甘口が好きだったような? 彼女は渋い顔で啜ってる。嫌いでも飲むんだ。もうジューンは二杯目いってるし、割り勘だから少しはセーブして欲しいわ。
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