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 勘違い野郎


 しばらくカタコンベを散策してからあたしたちは別れた。なんか大して案内はしてないけど、ギルドの上の商店で生きてく上で必要なものはなんでも手に入るから問題はないだろう。ちょっと高いから、あたしたちは使わないけど、ウロウロするのが嫌な人はよく利用してる。

 宿に戻ってランドリースペースで洗濯魔道具を回しながら考える。まあ、そうよね、あたしはジューンと二人っきりだったから、人から見たらデートって勘違いされてもおかしくない。墓石、タワー、神殿、色気が無いとこで逆に助かったのかも? つい先日までアストリアとよく一緒にいたのに、ジューンにもう乗り換えたって噂が流れるのは勘弁して欲しい。めっちゃあたしが軽いみたいだ。


「あー、レイチーだー」


 フラフラしながらリコッタがやってくる。お酒、強くないんだからそんなにのまなけりゃいいのに。彼女もしこたま洗濯物を抱えている。もしかして、今まで寝てたの? のろのろと洗濯始めてる。そしてあたしのベンチの隣りに座る。


「で、どうだった」


 あ、あたしが出たの知ってたのね。ついて来てくれたら良かったのに。


「あいつ、ヤバいわよ」


 あたしはジューンを案内した事を話す。リコッタは聞き上手。いい塩梅で相槌打ってくれる。そして、ちゃんとリコッタはそのつど感想も言ってくれる。


「一人称俺様って言ってるだけあるわね。多分、人の事何も考えてないのよ。けど、そんな事言ったって事は、パーティー入ってくれそうね」


 あたしと二人っきりの時はリコッタは良く喋る。人見知りなんだろう。ジューンがパーティーに入るかどうかを気にしてるのは、追放報酬が欲しいからだろう。最近、新しい服幾つか買ってるみたいだし。

 リコッタはこんなしてるけど、結構人に気を使ってる。だからわがままな人とはあんまり反りがあわない。話ながら、もしかしたらリコッタがジューンのパーティー加入に難色を示すかもって思ってたけど、問題なさそうだ。ジューンへの好感度は低いけど、仕事って割り切ってるんだろう。もし、報酬がなかったら上手くいってなかったかも。


「お、もしかして俺様を待ってたのか?」


 げっ、ジューン。リコッタがあたしの影に隠れる。迂闊だった。ここを早く離れるべきだった。休みの冒険者はダンのような無精者じゃないかぎり、まずは洗濯する。少し考えたらわかる事。あたしは無理矢理笑顔を作る。仕事。これは仕事。


「待ってたわけじゃないけど、ジューンさんも洗濯なの?」


「ああ、そうだ。で、晩飯はどこに行く?」


 ん、どこに行く? なんで一緒に行く事が決定事項になってるのよ?

 


 読んでいただきありがとうございます。


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