街デート? 2
「すげぇな、あんな遠くまで見えるぞ。ひろいんだな」
うわ、ジューンめっちゃ子供みたい。もしかしたらこんな高い建物の上に登ったのは初めてなのかもね。つい、顔が緩む。風が吹き髪をさらうのであたしは頭を押さえる。
雲一つない青空に回りは見渡す限りの地平線。街を囲む三つの城壁から地面に書いたかのように地平線まで続く道。ここらは大陸の真ん中で起伏が少なく、雨もあまり降らないから耕作地は少ない。東に流れる川に沿って緑はあるがそれ以外はポツポツと緑以外は黄茶けた大地。
「お前、今笑っただろ。けど、その方がいいな、お前ってまるでひろいんだな」
ん? 何言ってんの? あたしが広い?
あ、わかった。最初のは『広いん』、さっきのは『ヒロイン』。なんだそりや、駄洒落か? 全く面白くないんですけど。なんかそれなのにジューン、ドヤってるし。なんか腹立つ。理解に少し時間がかかったのが腹立つ。確かに上手いとは思うけど笑えんわ。
「はいはい、冗談はここまでで、次いきましょ」
「そうだな。次は隣のタワーに行くぞ」
墓石と同じ高さの塔。タワーと呼ばれてる。そこはこの街の魔道士ギルドの本部で、一階二階は一般開放されてるが、墓石みたいに屋上には登れない。
ジューンは魔法は使えないそうで、魔道士ギルドには登録してない。あたしも生活魔法くらいしか使えないので登録してない。あたしが先導してタワーの中を案内する。ジューンは魔法関連にはあんまり興味ないみたいで書店や魔道具店、魔道雑貨店を冷やかして、次は神殿に向かう事になった。
「すげぇな。なんか心が洗われるみたいだな」
ジューンがあたしに耳打ちしてくる。近いよ。まあ、けど、ここで騒がれるよりましね。
大聖堂は石造りで天井には神々の争いを書いた絵画、大きなステンドグラスからは七色の光が差し込んでいる。まあ、あたしはここにも長く居たからまったく何にも思わない。強いて言えば暗いしジメジメしてるから退屈なだけだ。
「ここって、地下に墳墓があるんだろ。行こうぜ」
「ま、いいけど」
ここの地下には共同墓地がある。ここの迷宮では亡くなった者の骨だけが残る。他の迷宮では迷宮で亡くなった者は一日程で迷宮に飲み込まれてしまうそうだが、ここは特殊で、飲み込まれた後に骨と認証品だけがまた戻ってくる。その中で身寄りが無い遺骸は神殿で買い取って地下墓地に埋められる。それを数世紀繰り返してきて、地下には骨まみれの洞窟、所謂カタコンベが形成されている。ここでもあたしは働いてたから何とも思わないけど、行きたがる物好きはたまにいる。何がいいんだか。
あたしたちは石造りの螺旋階段を下りて地下にたどり着く。
「すげぇな。これってほとんどが冒険者のものなんだろ」
「そうだと言われてるわ。昔昔からあるから、詳しくわわかんないのよ」
「お前、なんて言うか、肝座ってるな。怖いとかないのか?」
「あたしはここで働いてたのよ。今はなんとも思わないわ」
「そっか。けど、色々案内ありがとうな。なんかデートみたいだな」
はぁ? あたしはなんとか声を飲み込む。無神経なのか? 何がデートやねん。墓石からタワーからカタコンベ。どこにデート要素があるのよ。もし、本気で言ってるのなら正気じゃないわ。デートって言えば、なんて言うか、ドキドキ、ワクワクなものでしょ。そんなん微塵もないわ。ジューンは初めて来るとこで、楽しいかもしれないけど、あたしは馴染みのとこばっかでしかも神殿は暮らしてたからむしろ来たくないとこなのに。
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