迷宮都市
「え、あたしたちが追放するの?」
「お前、追放されて強くなる奴に憧れてるんだろ。けど、実際、身の回りでそう言う話聞いたことあるか? ないだろ。それなら自分たちでやるしかないんじゃないか」
ダンは腕を組んで得意げに話す。何バカな事いってるんだろう。ダンはいい人なんだけど、たまに思いつきで突っ走る事がある。だいたいこういう時はリコッタがブレーキをかけてくれる。
「ダンがまた変な事言ってるわ。リコッタ、何とかしてよ」
「いい、それ、いいかも。ドラゴンスレイヤーが生まれるかも」
目をキラキラさせてリコッタが頷く。え、リコッタまで、何言ってるの?
「ガハハハハッ。面白そうだな。それで、覚醒して強くなった奴を仲間にしてもいいし、もし、俺達のパーティーに戻ってくれなくても、俺達のパーティーはドラゴンスレイヤーがいたパーティーって事で名が上がるかもな」
え、バルまでも賛成なの? あたしたちのパーティーは何を決めるも多数決。という事は決定?
「そうと決まれば、善は急げだ。詳細を詰めるぞ」
そしてあたしたちは『追放ざまあ』を実行する事になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あたしたちが今居るのは迷宮都市オリンピュアと呼ばれている街だ。ここら辺は街1つ1つが独立した国で、東方都市国家群と呼ばれている。
街の中央には地下に続く広大な迷宮があり、それを中心に同心円状に街が出来ている。それをいびつな円形の巨大な3つの城壁が囲んでいる。普通だったら、城壁は外部からの敵に対しての防衛のためのものだけど、ここは違う。迷宮から魔物が溢れ出した時にそれを食い止めるためのものだ。
その迷宮を囲む広場に接して、冒険者ギルドと魔道士ギルドの大きな建物がある。冒険者ギルドの建物は直方体でその形状から墓石と呼ばれている。迷宮で命を絶つ冒険者も多いからそれに対する揶揄もあるのかもしれない。そしてその横に立つ魔道士ギルドの円筒形の建物はまんま塔と呼ばれている。その墓石と塔は街のどこからでも見る事が出来て、街で迷った時の目印になる。
この街は、迷宮に潜る冒険者達がもたらすもので栄えていて、かなりの数の冒険者が生活している。
迷宮はいつからあるのかは、分からない程昔からあるらしく、構造はフロアがあって地下への階段があるという形だ。地下10階ごとにボスがいてそれを倒さないと先に進めない。そして、地下50階にはボスでドラゴンがいて、それより先に進んだという記録はない。ほとんどの冒険者達はそのドラゴンを倒し、ドラゴンスレイヤーの称号を手にする事夢見ている。
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