街デート? 1
「ジューンさん、もしよかったら、街、案内しょっか?」
あたしは、宿のカフェでコーヒーを飲んでるジューンに声をかける。今日は腰にナイフを帯びてるだけで私服だ。あのゴツい黒い鎧を脱いだら、なんか幼く見える。けど、鍛え上げられた体には厚みがある。
ちなみにうちのダメダメなパーティーメンバーは、みんな昨日飲み過ぎたみたいで誰も起きてきてない。今朝打ち合わせ予定だったけど無理だろう。ジューンにその事を謝る。これじゃジューンに愛想尽かされて逆に追放されるんじゃ? まあ、休みだからいいけど、せっかくの休日をずっと寝て過ごしてもったいなくないんだろうか? 多分ダンとバルは起きてきてもまた飲んで寝るだろうし。それでもどっかでトレーニングだけは欠かしてないらしい。
「ああ、頼む。まずはギルドをしっかり案内して欲しい」
ジューンはカップを傾けると立ち上がる。
「そうね、昨日はすぐ出たもんね。ここのギルドの建物は大陸で一番大っきいって言われてるのよ」
「ああ、墓石だろ」
ギルドの建物は黒い直方体で墓石と呼ばれている。二十階建てのビルで、十階までと屋上は一般開放されている。迷宮の入口である大穴の真北に屹立し、その名の通り、冒険者たちの墓標にも見える。さっさと進むジューンについて行ってギルドに向かい、街の住民なら誰でも知ってる事を話す。一階二階は冒険者ギルド。三階から十階まではお店やアミューズメント施設がゴタゴタと入っている。けど、一等地なので店舗の入れ替えが激しく、あたしも全部のお店は把握してない。四階にあるタピオカミルクティーのお店はあたしの行きつけだ。ビルには六機のエレベーターが配置されていて、そのうち奥にある二機だけが十階より上に続いている。十一階より上は役所と居住区があるけど、そこにはあたしは詳しくない。
「魔道エレベーターか、初めてみるな」
とりあえず、この街の一番人気の観光スポット、墓石の屋上へと向かう。
「ねぇ、ジューンさん。この建物っていつ頃できたのか知ってる」
「それくらい知ってるぞ。ここの迷宮が発見された時にはもうあったんだろ。いつ誰がつくったのかは誰もわかんないんだろ」
おお、意外に勉強してる。この街の墓石とその隣の塔はオーパーツだ。建物であり魔道具。ここの迷宮を作った神に近い者が作ったのではとあたしは思ってる。
「うわ、なんだこりゃ。すげーな」
エレベーターの扉が開くなり、ジューンは駆け出してって手すりから身を乗り出してる。子供かよ。あたしも初めてここに来た時はテンション上がったけど、ここまでじゃなかったはず。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




