王子旅立つ
「プロテクション」
あたしは走りながら防御アップの魔法を対象を倍にしてダンとバルにかける。
「スピードアップ」
バルは多分バルとダンの速度を上げた。
あたしたちはゴーレム部屋に飛び込む。さっきのまま、泣きじゃくるアストリアをゴーレムが追っかけてる。
「助けてくれ! コイツは固すぎる」
アストリアがイケメンボイスを出す。切り替え早いなー。
「パワーアップ」
バルの魔法がダンの剣を強化する。これでゴーレムにもなんとか刃が通る。
ガッキーーン!
ダンがゴーレムの背中から一撃加える。多分左右どちらかの腕の付け根を狙ったはず。まずは相手の攻撃力を殺ぐ。リコッタがゴーレムの前に立ち引きつけて、後ろからダン、バル、あたしが攻撃する。チマチマと確実に可動部分へのダメージを蓄積し、両腕と片足を潰したらあとは作業だった。
「酷いじゃないか。追放なんて」
アストリアがダンに食ってかかる。戦闘力中アストリアはずっと座って縮こまってた。
「ああ、悪かった。ほら、最近小説とかで、追放された奴が覚醒するって話多いじゃないか。あんたなら追放されたら覚醒するんじゃないかと思ってな」
「そんなお話みたいな事ある訳ないじゃないか。ギルドに戻ったらそれなりの対処させてもらうぞ」
まあ、それはしょうがないわね。あたしたちがやった事はアストリアにとって許される事じゃないと思うし。
「と、言いたいとこだが、俺は何も言わないからお前らも何も言うな。無かった事にしよう」
へ?
「え、いいのか?」
ダンの顔も???だ。
「ああ、俺がゴーレム程度に手も足も出なかったって思われたら、対面が悪いからな。もっと旅して強くならないとな。だっ、だけど、俺の演技凄かっただろ。お前らが近くに居るのは知っていた。思いっきり情けなく逃げてたら助けてくれる事もな」
はぁ? あれ演技だったって事にするの? あれが演技だったならいい役者になれるわよ。要は情けなかった自分を隠したいから、さっきの事は水に流すって事? まあ、あたしたちにはデメリットないし、むしろいいわね。
「だが、お前らは信用ならないから、ここでお別れだ」
そりゃそうよね。
「レイチェル」
アストリアがあたしを見る。吸い込まれそうになる綺麗な瞳。やっぱイケメンだわ。
「俺はまた旅に出る。よかったらついてこないか?」
え?
「君はママの次に綺麗だから、ママもきっと君の事なら気に入ってくれると思うよ」
はぁ? コイツ大丈夫か?
「ごめんねぇ。悪いけど、遠慮しとくわ……」
「そうか、気が変わったらいつでも帝国に来てくれ待ってるよ」
そう言うと、アストリアは歯を光らせて去っていった。
「アイツ、マザコンに完全覚醒したみたいだな」
ダンの余計な一言にあたしは強く同意した。ママの次……
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