王子錯乱
「うがっ!」
アストリアの体にゴーレムのパンチが擦り、その体が地面に叩き付けられる。受け身をとって立ち上がるが、その剣先が明らかに下がっている。
「無理だっ! 固すぎる」
アストリアは騎士の誇りのはずの剣をゴーレムに投げつけると背を向け、入口に向かって走る。それをゆっくりと追っかけるゴーレム。アストリアは見えない壁に当たるとバンバン叩く。振り返りゴーレムが近づいてきてるのを見ると。
「助けてくれー!」
叫んで逃げる。
「ダン、もう助けたがいいんじゃないの?」
「いや、まだだ。人間追い詰められたら本性が出る。覚醒するのはそういう時だろう。余裕あるようだから、あと少し頑張ってもらおう」
一理あるけど、単にアストリアさんがイケメンだから虐めてるわけじゃないわよね?
「来るな。来るな。うぅわーーーー!」
構えも何もなり振り構わず。アストリアはゴーレムから逃げる。
「助けてー。助けてー。ママー!」
うわ。ギャン泣きしてる。そのあまりにも見事な泣きっぷりに、みんな言葉を失い呆然と見ている。これがあの精悍だったアストリアさん?
「ママー! ママー!」
うわ、ママママ叫びまわりよる。確かに男の人にはマザコンが多いって聞くけど、あの歳でママって呼ぶのは無いわ。せめて、母とか母さんとか呼べよ。けど、『ははー! ははー!』って叫んでたらそれもそれで変だわ。
「そう言や聞いた事があるぜ。金持ちにはマザコンが多いってよ」
バルが頭を撫でながら言う。バルは見た目からは想像つかないが、かなり博識であたしたちのブレインと言っても過言じゃない。
「なんで?」
リコッタが尋ねる。
「それはだな。普通の家は両親とも働いてるから母親が子供と接する時間は限られてる。だが、金持ちの母親は専業主婦で、家に居る事が多い。そしたらどうなるかって、子供と一緒に居る時間が長いと、溺愛しすぎたりするって寸法だ」
まじか。うん、意外に理に適ってるわ。しかもアストリアさんは王族。王様って妃を何人も囲ってたりするから、さらにその妃の愛情は子供に向くのかもしれない。一夫多妻にはそういうデメリットも有り得るのね。
画面の中で情けなく泣きじゃくるアストリアを見る。逃げるのは生き延びるために仕方ないとしても、まだ余力があるんだからもう少しは戦って欲しかった……
腕を組んで無言だったダンが話しだす。
「なあ、もしかしてあいつの名誉のために、見なかった事にして帰った方がいいかなー」
「何言ってんのよ。見捨てられる訳ないでしょ。良くわよ!」
なんかモヤモヤするけど、あたしたちはアストリアを救出に向かう。
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