言葉を盗む。声を盗む。会話を盗む。
「水瀬の自作自演だよ。霊に取り憑かれた事は演技で、気絶したって云うのは嘘。ただ単に【生贄様】って降霊術を流行らせたいからじゃない?」
「流行らせて何か得ある?無いでしょ?」
「だから流行る事によって水瀬は何らかしら得する事があったんじゃない?よく分からないけど。」
【降霊術が流行る事で得るメリットは想像すら出来ない。】
「さっきも言ったけどさ。私は片桐響子が犯人だと思う。盗み聞きしていたのか。それとも盗聴していたのか。あの時の会話が聞かれているはずでしょ?タイミング的にも彼奴が怪しいよ。」
【あの時の会話?】
「まぁ。タイミングがタイミングだしね。でもあの会話を聞いて興味を持つって事はさ…。片桐って見かけによらず変態だったんだね。」
そう云ってケラケラと笑った。
【変態?どうしてそうなる??】
御子神の思考はついていけない。何もかもがバラバラで何もかもがハマらない。
「もし生きていたら。友達になれたかもよ?同じ変態同士で…。」
そう云うと、またケラケラと笑う。
そして、続けて言葉を置いた。
「類は友を呼ぶって云うでしょ?波長が合うって云うか…。しかも、ああ云うの好きなのって特殊だし。」
【ああ云うのって、どういうの?】
知ってはイケナイ。そんな気がして、関係ない筈の御子神の顔は少し桃色になったのだった。