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聞こえた会話
「だから…。彼奴が、あの事件の犯人なんだよ。盗み聞きしたのか…。それとも盗聴していたのか…。」
御子神の後ろの席で女子高生達は会話をしている。
その内の1人がそう言葉を放ち…。
「そうじゃないと辻褄が合わないでしょ?」
と続けた。
御子神は想う。その時の会話は盗み聞きされたモノなのだろうか?今と同じ様に、ただ単純に話し声が大きくて、会話が筒抜けになっていただけなのではないのだろうか…。
そうなのだ。
御子神は聞き耳を立てている訳では無かった。それでも、その女子高生達の声は特徴的で耳に残るモノだから。自然と頭に入り込んでくる。当然、後ろの席なのだから顔は見えず、表情は伺えない。唯一、声だけが其処にはあるのだ。
「確かにねぇ。でも、だからって片桐響子がやったとはかぎらないでしょ?」
「そう?私は彼奴だと思う…。だってさ。普段から気味悪いでしょ?ほら。誰かが言ってたじゃん。彼奴は変な儀式を行っているって…。何て言ったけ?あの儀式…。」
【まるで、ラジオドラマを聞いてるみたいだな…。】
御子神は…。
そう想った。