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第5章ー11

 1943年4月、そのような惨状にロシア全土が陥りつつある中、サンクトペテルブルクに連合国軍の主な将帥は集い、モスクワ等の攻略作戦案を詰めていた。


 北方軍集団の一部を割いて、アルハンゲリスク、ヴォログダ、ヤロスラブリ等を制圧する一方、北方軍集団の主力は、モスクワへの進撃を行うことになる。

 中央軍集団が、目指す目標は言うまでもなく、モスクワと言うことになる。

 その一方で、南方軍集団は、(既述だが)アストラハンやバクー油田の制圧を目指すことになっていた。


 そして、モスクワ陥落後は、中央軍集団と北方軍集団は、事実上編合され、アルハンゲリスクからサマーラ(当時の名はクイビシェフ)を結ぶラインを目指すことになっていた。

(なお、南方軍集団が、サマーラからアストラハンを結ぶラインを目指すことになっていた)


 これらが全て順調に進めばだが、1943年の秋にアルハンゲリスクからアストラハンに至るラインを、連合国軍は制圧することになり、その時点で、連合国からの降伏勧告を、ソ連政府が受け入れれば良し、受け入れないならば、ロシア諸民族解放会議の指導の下、建国される予定のロシア共和国等に、これ以降の占領地の統治を基本的に任せ、連合国政府は後ろに退いて、様々な支援をロシア共和国等に行うことにより、ソ連政府の最終的な打倒を目指す予定だった。

 

 何しろ、幾ら米国という巨大なパトロンがいるとはいえ、もう3年以上も連合国は、独ソ中の三国という巨大な国と戦い続けているのだ。

 それこそ、ソ連の広大な国土と、(共産)中国の巨大な人口の組み合わせは、ドイツでさえも小国のような錯覚を一部の連合国の政府、軍の指導者に起こさせる有様だった。

 そして、多大な損害を結果的に連合国は出すことになっている。


 例えば、欧州に派遣された日本軍の中に、それこそ第二次世界大戦勃発前には考えられなかった女性や台湾出身者の将兵が珍しくなくなったのは、中国内戦介入以来の損害の続出により、日本本土の男性のみを動員することでは、とても将兵を維持できなくなったことが一因だった。

 1943年春現在、後方部隊も含めた欧州派遣の日本陸海空海兵の四軍の将兵の総数は、入れ替わりや損耗もあるので、概算レベルにはなるが、陸軍6個師団、海兵隊6個師団等を基幹とする約40万人と呼称されてはいるものの、その内の約1割が女性、残りの約9割の内2割余りが台湾出身者という有様だった。


(なお、欧州にいる台湾出身者の多く、というよりほとんどが陸軍に勤務しており、それ以外、海兵隊等に勤務している者は極少数だった。

 それは、かつての日清戦争後のいわゆる台湾平定において、最大の戦いとなった新竹の戦いにおいて、指揮を執っていたのが海兵隊の林忠崇大佐(当時)だったこと、また、台湾平定の総指揮官を務めた小松宮彰仁親王殿下の跡を継いだ小松宮輝久王が海兵隊の軍人になっていたことが、台湾出身者の間で、海兵隊勤務を忌避するという事態を引き起こしていたためだった。

 なお、海軍本体や空軍は、その技術者的特性もあり、日常言語の異なる台湾出身者を回避していた。

 そのために、陸軍に台湾出身者が集中するということになったのだ)


 他の国も、同様に多大な国民の損耗に苦しみ、フランス等に至っては、外人部隊を編制し、ドイツ人等の志願者を募って、対処する有様だった。

(だからこそ、スペイン青軍団等が南方軍集団内で重用されたともいえるが)


 そうしたことから、ソ連政府が降伏を肯じなかった場合、新生ロシア共和国等に、これ以上の戦争遂行は任せ、武器等の支援を行うことで、第二次世界大戦をなし崩し的に終わらせようという動きが起きていた。

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