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第4章ー11

 そんな感じで、フランス軍主力部隊と共に、スペイン青軍団は進撃を続けていて、7月1日にはカラチ近辺でドン河を渡河し、スターリングラードに接近した。

 そして、グランデス将軍らは、自分達の予想が当たっていたことを知った。


「ヴォルガの背後に我らの土地なし」

をスローガンとして、スターリングラードの市街地は、ソ連赤軍、具体的にはチュイコフ将軍率いる第62軍によって、要塞化されているといっても過言では無い状態にまで陣地化を施されているのが判明した。


 スターリングラード攻囲には、ハリコフで勝利を収めたフランス第6軍らが当たることになった。

 フランス第6軍司令官であるド=ゴール将軍が、航空偵察等の結果をまとめた地図を見た瞬間、絶句する程にスターリングラードの防御態勢は準備されていた。


 7月4日、フランス第6軍司令官であるド=ゴール将軍の下、ステーリングラード攻略を巡る作戦会議が、フランス軍とスペイン青軍団合同で、カラチにおいて行われることになった。

 その間にも、フランス軍とスペイン青軍団の進撃は順調に進んでおり、スターリングラードの包囲環を徐々にだが締め付けようとしていた。

 しかし。


 その会議に出席しているアラン・ダヴー少佐は、事前に配られたスターリングラードの防備に関する資料を見た瞬間の衝撃を想い起こした。

 よくもまあ、というのが、まず浮かんだ想いで、更に、これを攻め落とせ、というのか、本当に可能なのだろうか、というのが、次に浮かんだ想いだった。

 ベルリン攻防戦やレニングラード攻防戦並みの激戦を、我々は覚悟せねばならないのは必至だ。

 それなら、強引に攻め落とすのではなく、他の手段を講じるべきだろう。

 最も、会議が始まる前に、そこまで分かっていた者は少数だったのだが。


「どうやって、このスターリングラードを攻め落とすべきか、忌憚のない意見を出していただき、その上で最善の作戦を決めたい」

 会議の冒頭、ド=ゴール将軍が、開口一番にこういった瞬間、それが分かっていなかった会議の列席者までが、覚悟を固めることになった。


 これは、余程の激戦を覚悟せねばならないようだ。

 ド=ゴール将軍は、どちらかというと積極的に自ら作戦を立案して、部下を動かすことを好む性格だ。

 それは、ド=ゴール将軍のこれまでの戦歴からして明らか極まりないことだ。

 そのド=ゴール将軍が、このようなある意味、謙虚な態度を執るというのは、それだけ腰が引けているということに他ならない。

 会議の場が、いきなり粛然とした雰囲気に満ちることになった。

 

 誰が、この会議の場の口火を切るのか、暫く重い空気が漂った。

 それにダヴー少佐は耐えかね、結果的に最初に発言することになった。

「スペイン青軍団の広報参謀、アラン・ハポン少佐です。我々は、スターリングラードを本当に攻略せねばならないのでしょうか」

「「何だと」」

 一介の少佐が、いきなり会議の目的を否定するような発言をしたのだ。

 複数の会議の列席者から、非難の声が反射的に上がった。


 だが、ダヴー少佐も腹を据えていて、即刻、反論した。

(その光景を見たら、石原莞爾提督どころか、土方勇志伯爵でさえ、流石はサムライの子、と肩を叩いたに違いない態度だった)

「忌憚のない意見を言え、と言われたから、言ったまでです。ド=ゴール将軍閣下、私の言葉に間違いはありますか」

「いや、確かに間違ってはいない」

 ド=ゴール将軍は、即答しながら、思わざるを得なかった。


 その姓からして、ダヴー元帥の末裔と誤解されがちだが。

 実際には、ダヴー少佐が、父が不明で、母にしても半ば身寄りのない庶民出身なのを知ってはいるが。

 この態度は、歴戦の軍人の末裔に間違いないな。 

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