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第4章ー4

 実際、日本空母機動部隊の戦果等を聞いたハルゼー提督は、似たようなことを喚き、今回、黒海での作戦の拠点にしたトルコ海軍の根拠地イズミットに帰港した後、F6Fと烈風の模擬航空戦を提案することになり、それを日本海軍側も受け、更に伊海軍が便乗したのだが。

 F6Fは、堅実保守的な設計等がたたり、烈風に明らかに劣位、Re2005改にもやや劣位、と模擬空戦において判定されてしまった。


 これに激怒したハルゼー提督は、この結果に憤激した現場の搭乗員達の声も背景に、米海軍上層部に後継機開発を急ぐように訴え、米海軍上層部は本音では今後の軍用機はジェット化すべきとの考えから嫌がったが、この訴えにより、究極のレシプロ艦上機コンビとされるF8FとA1が開発されるのだが、それは幾ら急ごうとも、第二次世界大戦終結後に結果的にはなってしまった。

 そのために、第二次世界大戦で実戦を経験した中で、最強はともかく第二位の艦上戦闘機は、という問いかけに対して、Re2005改がしばしば挙がるようになり、思わぬ形で伊海軍航空隊の評判が上がるというオチまでついてしまったが、これは余談である。


 そして、この日米伊の空母機動部隊の黒海殴り込み作戦は、それなりの軍事的効果を上げた。

 ソ連軍は、連合国軍が後方への上陸作戦が行うのではないか、ということを警戒して、黒海沿岸方面に部隊の一部を割かざるを得なくなった。

 また、予備部隊を後方に回さざるを得なくなったのである。


 更にセヴァストポリ要塞に対する米海軍航空隊の大規模な空襲作戦は、セヴァストポリ要塞を、半ばのんびりと兵糧攻めにしていたルーマニア軍に対する督戦となった。

(もっとも、冬季だったので、ルーマニア軍が動かなかったのにも、それなりの理由があるのだが)

 そして、ノヴォロシースクに退避していたソ連海軍艦艇等の壊滅は、セヴァストポリへの補給の糸を、ほぼ完全に切断してしまった。

 補給が途絶したセヴァストポリ要塞に対し、(半ば渋々ではあったが、戦後の復興等に際して、米国等の連合国の大国の支援が必要と言う事情から)5月以降、ルーマニア軍が攻撃するということになるのだ。


 また、売込みに関してだが。

 トルコ海軍は、第二次世界大戦終結後に、「雲龍」を日本から購入し、更に「烈風」、「流星」を導入することも決断する。

 その理由となったのが、この黒海での日米伊の空母機動部隊の活躍を間近に見たことからだった。

 そうしたことからすれば、この黒海における作戦は、日本にしてみれば、日本製の武器売込みに関して、大成功を収めることになる一因になったと言える。


 なお、何故にトルコ海軍が、空母保有を決断したか、というと。

 東地中海沿岸等において、パレスチナ問題が波及した際、軍事的プレゼンスを与える必要がある、という判断からだった。

 ソ連が崩壊し、宗教、民族がらみの地域紛争が頻発するようになった中、トルコにしてみれば、小火の内にその紛争を押し止めることは、国内の混乱をもたらさないためにも、必須の課題となった。


 そうした時に、かつての砲艦外交では無いが、空母部隊を派遣し、更にそこから艦上機を出撃させ、示威行動を行うなり、最悪の場合は爆撃を加えるということは、少なくとも地上部隊派遣よりも、容易に決断可能な話である。

 それにその方が、派遣部隊に死傷者が出るリスクを相対的にだが、減らすことが出来る。

 こうしたことから、トルコは武勲に輝く「ヤウズ」の予備艦編入、「雲龍」購入を決断したのだ。


 更なる余談になるが、こうした背景等から、他の国でも第二次世界大戦後には空母保有を希望して、タイまでが「龍驤」を購入して保有することになるのだ。

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