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第2章ー27

 1月27日、イジュム近辺に展開していたスペイン青師団は、フランス第2外人部隊師団と共闘して、ハリコフ救援作戦発動に伴い、激戦を展開する羽目になっていた。


「やれやれだな」

 ソ連軍の最前線陣地こそ、予てから準備していた大量の砲撃によって突破することに成功したが、さすがに第二線陣地以降は、易々と突破出来はしない。

 スペイン青師団が、基本的に徒歩歩兵師団であることに鑑みて、最初の陣地突破は、スペイン青師団が主力となって行い、ある程度、ソ連軍の防御陣地が崩せたら、フランス第2外人部隊師団を投入して、更なる戦果拡張を図る予定だったが、そう想うようには、初日から物事は運ばず、スペイン青師団のトップであるグランデス将軍は、(部下達の手前、内心で)嘆きながら、前進を策すことになった。

 それでも。


「まずは、最初の攻撃には成功したと言ったところだな」

 フランス第2外人部隊師団の面々は、明るい側面を努めて見ようとしていた。

 何故かというと。


「本当に不思議な気がするよ。何で、我々はここにいるのだろうと」

「全くですね。何でドイツ人の我々が、ウクライナの大地で、ソ連軍と戦っているのでしょう。ほんの2年前まで、ドイツとソ連は真の友邦、同盟国で、戦うこと等、考えられ無い仲だったのに」

 シュナイダー中尉は、部下のバルクマン軍曹と会話を交わしていた。


 二人の想いは、ある意味、他のフランス第2外人部隊師団の面々も共有する想いだった。

 何故に、ドイツ人の我々が、ウクライナの大地で、親友の筈のソ連兵を相手に戦っているのだろう。

 どこで我々は間違えたのだろう。


 泉下のヒトラー総統は、何故に真の味方であるスターリン率いるソ連政府と、お前らが戦っているのだ、と我々の執っている行動を嘆くかもしれない。

 もっとも、「我が闘争」の中で、全面的な反共、反ソ主義を訴えつつ、結果的にはスターリンと手を組んだヒトラー総統のことだ。

 案外、我々の行動を気にしないかもしれないな。

 そんなことも二人は想った。


 そして、少し時が経ち。

「ソ連軍の戦車です。我々の出番のようですな」

 砲手であるバルクマン軍曹が、声を挙げた。

「初弾必中でいくぞ」

 シュナイダー中尉は、ルノー43戦車の車長として、発破をかけた。

「ヤー(はい)」

 部下の面々も声を挙げる。


 第一線陣地が突破され、第二線陣地も崩れかけたことから、ソ連軍が予備として配置していた戦車部隊を繰り出してきた。

 それに対応するために、フランス第2外人部隊師団の戦車部隊も動くことになったのだ。

 シュナイダー中尉の搭乗するルノー43戦車は、地形を活用して、ソ連軍の戦車部隊を、味方と共闘して迎え撃つことになった。


「距離1000、少し遠いですが、この主砲の試し撃ちとして、撃ってもいいですか」

「良し。撃て」

 実際、シュナイダー中尉にしても、このルノー43戦車の主砲の実戦の威力については未知だった。

 それもあって、少し逸って、主砲射撃を許可したのだが。


「初弾命中。敵戦車炎上です」

「凄い」

 バルクマン軍曹の報告に、シュナイダー中尉は感嘆の声を挙げた。

 T-34戦車の砲塔正面を、多少の幸運があったのかもしれないが、この距離で撃ち抜くことができるだけの威力があるとは。

 だが、当然、ソ連軍戦車部隊も報復してくる。


「距離を保て。また、側面を晒すな」

 シュナイダー中尉は、少し慌てて指示を下した。

 ルノー43戦車は、車体重量を少しでも軽くするために、零式重戦車等と同様、正面以外の装甲が薄弱になっている。

 それに、T-34戦車の主砲でも、近距離に潜り込まれては、ルノー43戦車の正面装甲が抜かれてしまうのだ。

 だが、全般的な優勢は、こちらが確保できていた。

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