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第2章ー1 ソ連軍冬季反攻

第2章の始まりになります。

 1943年1月12日、ソ連軍は、自らのいうところのレニングラード奪還のための大反攻作戦、連合国軍側に言わせれば、サンクトペテルブルク方面からの連合国軍の春季大攻勢に対処するための一大攻勢防御作戦を発動した。

 これは、ソ連軍が、自らの内情に半ば迫られたことから、攻勢発動に至ったものだった。


 まず、第一に1942年5月以来の連合国軍の攻撃により、レニングラード(サンクトペテルブルク)、スモレンスク、リガ、ハリコフ、オデッサ等、欧州方面のソ連の大主要都市が相次いで失陥しており、バルト三国、ベラルーシはほとんどが、ウクライナにしても中西部が、連合国軍の制圧下に置かれている、といっても過言では無い惨状を、ソ連は呈していた。


 更にバクー油田のあるコーカサス地方や、中央アジアにおいても、徐々に民族、宗教に基づく分離独立運動が、連合国が様々な手法により持ち込んだ武器等の物資援助により、活発化するという事態が起きていた。

 勿論、こういった分離独立運動に対し、スターリン率いるソ連政府は、文字通り血を血で洗うような凄まじい弾圧作戦を実行することにより、封殺しようと試みている。

 だが、連合国軍の攻勢の前に、ソ連政府は徐々に弱体化しており、そういった弾圧作戦は、分離独立運動に対する同情を産み、また、却って、ソ連政府に対する反感を煽って、分離独立運動を地下で広めるという事態さえ引き起こすようになっていたのである。


(コーカサス地方に対して、連合国側として参戦していたトルコ軍等が攻勢を掛けていなかったのか、というと掛けていなかったとは言えないが、実態としては半ば口先だけ、というのが実際の所だった。

 コーカサス地方は、様々な民族、宗教が混在しており、下手にトルコ軍等が侵攻すると、反トルコ、反イスラム感情を激発しかねない地方でもあった。

 そのために、トルコ軍等は、コーカサス地方における民族、宗教に基づく分離独立運動に対しては、武器等を始めとする物資援助を主にして、実際の侵攻作戦は基本的に控え、半ば威力偵察的な小規模な侵攻作戦の実施に止めざるを得なかったのである)


 そういった現実に鑑みて、更に、ロシア諸民族解放委員会設立という事態が引き起こされたことから、ソ連政府としては、未だにソ連政府には充分な力があることを、内外に示すために大規模な作戦を行うことを決断したのである。

 更に、これには副次的な効果も見込まれていた。


 バルト海からカスピ海や黒海へと通じる、主に内陸水路を活用した貿易路、いわゆる「ヴァリャーグからギリシャへの道」は、異説もあるが、古代から延々と活用されてきた重要な貿易路である。

 そして、その貿易路の主要な支線は、モスクワを経由している。

 また、貿易路は、いわゆる有事、戦時においては軍隊の侵攻に大規模に活用されるというのは、古今東西の歴史における現実だった。


 ソ連軍は、間もなく訪れる1943年の春に行われるモスクワへの連合国軍の大攻勢は、日米連合軍を主力として、「ヴァリャーグからギリシャへの道」を活用して行われると推測していた。

(なお、この推測は、実際に1943年初頭時点の連合国軍の春季大攻勢計画とも一致していた。

 ある程度、大規模な攻勢計画となると、補給等の側面もあり、お互いに結果的には読みが一致してしまうというのは、よくある話なのだ)


 そして、ソ連軍は、その出ばなを挫き、連合国軍の春季大攻勢を有利な状況で迎撃しよう、と冬季大反攻作戦を主に北部戦線において発動することを決断したのである。

 勿論、中部、南部戦線においても牽制のための支作戦が実施される。

 連合国軍は、ソ連軍の攻勢を迎撃することになった。

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