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第1章-1 ロシア諸民族解放委員会の誕生

 今回、プロローグは無く、第1章になります

 1943年1月1日、レニングラードは、サンクトペテルブルクへの改名が正式に発表され、そこにロシア諸民族解放委員会が置かれることも併せて、ロシア諸民族解放委員会の名で発表されていた。

 ロシア諸民族解放委員会のこの発表を寿ぎ、更に第二次世界大戦を速やかに終結させ、更にその後の世界構想を話し合うために、各国の政界の重鎮、軍人の大物が、この場に集っていた。

 日本からは、このために吉田茂外相と梅津美治郎陸相をトップとする代表団が、この場に派遣されている。


「米内と鈴木を斬る、という声が、三宅坂の参謀本部等では挙がらなかったのですか」

「挙がらなかった、というと嘘になるが、儂や永田鉄山参謀総長が、お前らに本当に斬れるのか、老いたりとはいえ、前線でロシア兵やドイツ兵と実際に戦ったサムライだぞ、と呟くと全員が黙りおった」

「サムライの盛名、衰えずですな。逆感状の効果もあるのでしょうか」

「かなり昔の話を持ち出すな」

「かなり昔ですか。ほんの少し昔の気がします」

「確かにな」

 梅津陸相と、欧州における日本陸軍のトップ、山下奉文大将は、そんな会話を交わしていた。


 梅津陸相も山下大将も(それに永田参謀総長も)、先の第一次世界大戦において、海兵隊に出向して欧州の戦野で戦った身である。

 先の第一次世界大戦において、鈴木貫太郎枢密院議長は、第3海兵師団長としてヴェルダン要塞攻防戦で勇名を馳せ、ドイツ皇太子から、通称「逆感状」を第3海兵師団は賜った。

 米内光政現首相は、その時、第3海兵師団の参謀として、鈴木枢密院議長の直属の部下だったのだ。

 梅津陸相と山下大将が、欧州に赴いたのは、ヴェルダン要塞攻防戦の後なので、その場にいたわけでは無いのだが、その衝撃を二人は未だに覚えており、日本国内にも伝わっているのだ。

 さて、何で二人がそんな会話を交わしているか、というと。


「米内首相が、梅津陸相、欧州の陸軍の将兵の慰問も兼ねて、今回は行ってくれないか、陸相代行は首相たる私が務めるから。まさか、陸の戦を知らない者には任せられない、とか言わないよね、と笑って言われては」

 梅津陸相が、目は笑わせながら、そう渋い口調で言うと、山下大将もそれに合わせた。

「さすがに断れませんな。それに、鈴木枢密院議長まで、憲法上の疑義は全くない、海相代行を首相が務めた先例があり、陸相も同様である、と枢密院の見解を示されては」


「そう、逃げ口は完全に塞がれている。それに欧州にまで遥々赴いている陸軍の将兵を、陸相自ら慰問する。新聞等も好意的に報じてくれる話だ。むしろ、欧州に行かない、と私が言ったら、欧州に赴いている陸軍の将兵を慰問すべきだ、と叩かれてしまうよ」

「時代の流れですな。大正時代に、あれは海相のみの話だ、と陸相は除かれる、と元老の山県有朋元首相等が駄々をこねて、それが通ったのに、今は通りそうにない」


「本当にな。陸軍省に勤めている民間人の間で、労働組合を作る動きまであるからな」

「序に言えば、その内の多くが女性でしたっけ。陸軍省に入る女性が、珍しくない時代が、自分の生きている間に来るとは思いませんでした」

「仕方なかろう。大日本国防婦人会が騒いでは。女性も国防のお役に少しでも立ちたい。後方の仕事を女性が担うことで、男性は安心して前線で戦える、と正論を言われては、陸海軍共に断りづらい。それに、ソ連や英米の女性の実情も入ってくる。流石にソ連のように最前線で戦わせるのはどうかと思うが、英米のように後方の仕事を担ってもらえれば、という声が、軍内部においてもさざ波のように広がるのは、この現実からすればやむを得ない話だしな」

 梅津陸相と山下大将は会話した。

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