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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最後は笑顔で。

作者: だいどぅ

だいどぅsideと雷sideに分けて書きたいと思っております。

今回はだいどぅsideです。雷sideは次回出します。

私は今電車に乗ってとある喫茶店に行こうとしていた。

昨日、突然雷に呼び出された。

『明日、会えないかな?』と。

偶然にも学校、部活もなく久しぶりの休日だったので承諾した。


電車を降り、マップを見ながら喫茶店を探す。

地図はあまり読むのが苦手だが案外早く着いた。


店に入り、店内を見渡して雷を探す。

自分に手を降っている人物が一人いた。

雷だった。

雷のいる席へと向かう。席に着くとふぅ…と一息ついた。


雷「だいちゃん、ちょっと休憩したら行きたい場所あるから付いてきてもらえる?」

軽くいいよと言う。

その時は買い物に行くのだろうと考えていた。

店員が持ってきた水を飲むと伸びをする。

休憩できたし行こうか。と雷に言うと

うん。と返事が返ってきた。


席を立ち、店を出ると雷の会計が済むのを待つ。

雷が出てくるとすぐに歩き始めた。


途中、雷が裏路地に入っていく。

なんでこんな所に入るんだろうと思いながら付いていくと

急に雷が足を止めた。バッグから何かを取り出す。

取り出した物を私に見えない様にこちらに振り向く。


雷「だいちゃん。ごめんね…」

突然、謝られる。そして私に近付いて何かをした。

謝られる意味が分からず「どうしたの?」と聞く。

雷は泣き出してしまった。ますます意味が分からなくなってくる。


ふと、口から液体が溢れた事に気が付く。

唾液だったら恥ずかしいと思い咄嗟に手で拭う。

手に付着した液体を見た。


「え…………?」

絶句した。言葉が出ない。

何故、血が出ているんだと思考を巡らせる。

視界の片隅に腹に刺さった包丁が映り込む。

瞬間、猛烈な痛みが私を襲った。


「い"っづぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"っ…………」

雷に包丁を抜かれると同時に刺された箇所を押さえて蹲る。

呼吸数が増える。

ゲホッゴホッと何回も血を吐き出した。

以前と雷は謝り続けていた。


何故雷は私を刺した?今から救急車呼べば間に合うかな?

脳は割と冷静に動いてくれた。

雷がしゃがみ込んでワッと号泣しているのが分かる。


雷は誰かに命令されてやったのではないか。

何故だか雷を庇う様な考えが浮かんだ。

相手を殺して泣く奴なんかいない。

それだけが根拠だった。


震える身体を動かして雷に近付きギュッと抱き締める。

表情は見えないがえっ?と言っているのが聞こえた。

きっともう動かないと思っていたのだろう。

ギュッと包丁を握る音が聞こえる。


私はもう駄目だろう。なら、最後にこう言おう。

必死に笑顔を作り「今までありがとう」と耳元で呟いた。

次の瞬間、首に冷たい物が当たる。

包丁だ。首が掻っ切られる。

ヒューヒューと更に呼吸を荒げる。

視界が滲む。突然、目から一筋雫が流れ落ちた。

泣いてしまっていた。最後は笑顔でと決めていたのに。


雷が更に泣いてしまった。慰めようと思った。

なのに力が抜けてその場に倒れ込んだ。

雷の泣き顔が見える。

泣くなよと思い重たい腕を上げて雷の頬を撫で、ニィッと笑った。

少しだけ涙を拭う。段々と意識が遠のいていく。

腕が雷の頬から落ちた。


あぁ、もう無理だ。

そう思うと目を閉じ、永遠に醒めない夢へと堕ちて逝った。

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