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だらけたい白騎士隊長と苦手な侍女は内緒の和平を結ぶ  作者: ユミエリ
第一章 だらけたい白騎士隊長は苦手な侍女と内緒の和平を結ぶ
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05  木漏れ日の下の小さな笑み

昼時の太陽の下にミラ嬢を見かけ、静かに黄昏ている姿は、何処か儚げで木漏れ日の光がミラ嬢に当たる度に、キラキラしていた。


まるで一枚の絵画のようで、つい見惚れていると、ミラ嬢が視線を感じたらしく、俺を振り向くなり、睨まれた。


何故にミラ嬢は俺を見るなり睨まれるんだろうか?


「┄えっと、ミラ嬢もお昼かい?」


何となく視線が痛いほどに睨まれるものだから、声をかけてみる


すると余計に睨まれて、目を細め訝しげてくる


「昼食時間なのですから┄当たり前のことを聞いてどうするんです?」

「┄いや、別に、どうもしないけどさ」

「┄┄┄わざわざ、そんな意味もない理由で話しかけられるのは時間の無駄では、ないのですか?」

「時間の無駄か┄┄それ、俺の判断的には無駄ではないと思うけど」


俺は今後は協力するべく相手のことを無駄とは思っていない、最初から冷たく当たられる理由は見当たらないけど、まあ少し前に変なことしたけどさ


いや、それは脇に置いておくとして


せっかく協力する関係ならば、少しは親しくなるのも、今後のためだし、それに┄ちょっと┄

いや、考えないでいいか


一応は素直に、思ったままをミラ嬢に告げてみたら、余計に疑う瞳を向けてきたが、そうですか、とだけ言って黙ってしまい


沈黙が俺とミラ嬢の間に流れた


あはは、会話が終わってしまったよ


どうするかな?


ポリポリと頬を掻いて、思考を巡らしてみる


ミラ嬢もお昼ならば、一応は親密を兼ねて食事に誘ってみるのはどうかと思うが、なんかこれナンパみたいだなと考えていると


「┄┄私との時間が無駄ではないならば、こちらで一緒に、昼食を共にしますか?」

「┄┄え⁉ いま、なんて┄┄?」


ミラ嬢からの逆からの誘いに驚き、まさかと自分の耳を疑ってしまって、聞き返す


何故なら、先程まで疑わしい瞳で沈黙していた、だからてっきり機嫌を損ねたかと思ったからだ


そんな俺の態度に、ピクッと肩眉が動く


「┄人の話を聞き返すとは、やはり私とは話をするだけ、無駄だと思って┄┄」

「いや、違うから! ただ┄いきなりの申し出が意外だったので、多少なりに戸惑ったのです」

「┄ですが、何故にミラ嬢は、一緒に食事をすることを許可してくれたのですか?」


少し距離があるため、太陽の逆光で顔はうっすらしかわからないため聞いてみたら、ミラ嬢は少しの風で靡く髪を手でおさえ


「何となく、一人の昼食よりも二人の方が楽しいとお嬢様も言っていたので、試してもよいかと、ある意味┄実験かもしれません」


と言われてしまう、そんなミラ嬢を見ていた俺は、一瞬だけミラ嬢が小さく笑った気がした。


だから目を擦り、もう一度見ると逆光がおさまったミラ嬢はいつもの無表情となっていて、何だか勿体ない気分になり


ミラ嬢が言った後半の実験かもしれません、の部分を聞いていなかったが


まあ、それはそれでいいのかもと思えた。


もとより自分から誘ってみてもいいかと思えていたから


「┄では食事を共にしよう、少し待っていてくれ、軽食を食堂にて調達してくる」


俺は無意識に笑み、そうミラ嬢に告げて走って食堂に向かった。


そのときミラ嬢が俺の言葉にではなく、笑みを浮かべたことに、驚いていたなど、俺は知らなかった。


◇◆◇◆◇◆


食堂に行けば、テーブルにて食べる用の物と、売店用の二手に分かれていて、自分に合った食事が楽しめる仕組みになっている


この仕組みは、先代の国王が転移者であり、ニホンの出身らしく、仕組みを提案して組み込んだとルーヴェンスに教えてもらった


そんな説明はあとにして、売店の方へと行けば、最近入ったらしい女性のミランナさんが男性陣の血気盛んなアプローチに怒鳴っていた


「┄あんたら、売店は商品を買うための物なんだよ! 買い物しないなら帰りな! 邪魔なんだよ、しっしっ」

「冷たいミランナさんも、またいい、俺と付き合ってよ」

「そうだよ、どうせ独身者同士だし、俺っていい優良物件だぜ」


などなど、騎士どもがあしらわれてるにも関わらず、食い下がる、そんな中で


「┄邪魔だ、どけ、そこの虫ども!」


とドスのきいた声が俺の近くからして、振り向くと、茶騎士のハロルドが眉間に皺を寄せて立ち、すぐ近くには紫騎士のルツライドが立ち騎士どもを険しい、いや人を殺さんばかりに殺気を込めて睨んでいた


騎士どもは、侮辱的に感じて言い返そうとし、振り向き際に、相手が最強に目付きの悪い二人組みを見たものだからビクッと肩を跳ねて、そそくさと文句を言わずに去って行った。


凄い威力だなーっと思って、驚いたまま固まっていれば


「┄シリウス、固まってないで、買い物済ましたらどうだ」


とハロルドに言われ、ハッと気づき硬直を解き、頷いたあとは売店にて、サンドイッチと野菜の魚煮の弁当を購入した。


そしてハロルドとルツライドの二人に向き直る


「┄お前らが一緒に食堂に来るなんて珍しいな」

「ふ、まあな┄ルツライドの快気祝いもあるからな、前の時に少しやらかして無茶したからな」

「まあハロルドがいれば、どうにかなるだろうし、ルツライドと余り無茶するなよ」

「┄わかっている。任務に支障などださん」


ジロリと眼光を鋭く言うせいで、怒ってるのかと疑いたくなるが、一応は機嫌がいいんだろうけど怖いな、相変わらず


そんな他愛のない会話を済ませたあとは、ルツライド達と別れて、俺は早々にミラ嬢のいる場所へと戻ることにした。


◆◇◆◇


中庭に戻りミラ嬢の場所に戻ると、木漏れ日は木々の中をざわめかせていて、最初の頃の場所に静かに座り、何処か遠くを見ているミラ嬢がいた。


俺はミラ嬢に声をかける


するとミラ嬢は俺に座るように促してくれ、少し距離を開けてすぐに昼食を互いに、食べることになった。


ミラ嬢の昼食は、あの武闘大会の時にみた食事よりは抑え気味だけど、えらく量があり


重箱が二段あって、中は色とりどりの食材があって一段一段と豪勢に見えた。


美味しそうだな


なんとなく、食べる量を制限して軽めの弁当にしたのに、ミラ嬢の弁当を見ていると余計にお腹が減ってくる


「┄どうかしましたか?」


あまりにミラ嬢の弁当を仰視していたせいで、不可解な表情をされてしまう


「え、いや、ミラ嬢は意外にも大食いなのかと、思ってな」


苦笑気味に誤魔化し具合が失礼なことかと気づき、弁解しようかとしたら


「まあ、色々と任務もあり、燃料を補給するため、今回は控えめなのですが、これを大食いとは、初めて知りましたね」


ふむふむと納得されてしまい、驚いてしまう


え⁉ これで控えめなのか?


なら普段はもっと食べるのか、こんな細い身体で、嘘だろ⁉


「┄あまり人をジロジロと見るとは失礼ですね」

「あ! す、すまない。ほんの誤魔化しが、事実だったせいで、驚いたんだ。そうか身体を動かすと燃費が凄いのは、俺にもわかるしな」


ならば一口貰うか、分けて貰うなど言えないよな、あの時に食べたのは上手かったから、もう一度食べたかったが、遠慮しておこう


それにあまり親しくもない男性から、分けてくれと言われては、気持ち悪るがられるよりかは、いいしな


少々┄残念気分になりつつも、サンドイッチをパクついて、数秒で食べ終えてしまい


さて弁当に手をつけようとしたら


「┄なんなら、そちらの弁当と私の弁当で分けて食べますか?」

「え⁉┄あ、でも、ミラ嬢が食べる量が減るんじゃないのか?」


急な申し出に、横を向いてミラ嬢を見て遠慮気味に告げると


「┄先程、食べたそうに私の弁当を見ていたので、分けて欲しいのかと思いましてね。それに、私も貴方が持っている弁当に食べたいオカズがありますから、少し分けて欲しいと思ったのです」


ミラ嬢は、そう呟き俺の弁当に目をやっていた。


互いの理念が一緒ならばと俺は承諾して、弁当を前に出し、ミラ嬢も弁当を前に置くなり互いに食べたいものを交換して、食事を進め食べていった。


そして食事を終えたら、満腹感があり落ち着いた頃、少し互いに落ち着くように、ほんわかしていた。


「┄美味かった、ミラ嬢は料理の腕がいいな」

「メイドとして、メリアお嬢様の世話に食事面も気を付けるのも仕事ですから」

「そっか┄ミラ嬢はメイドのプロか、そんでもって、暗部にいる、変な組み合わせだな」

「そうでしょうか」

「そうだと俺は思うがな、まあミラ嬢にはミラ嬢の事情があるんだろうし、深くは聞かないけどさ、不思議なんだよな」

「ミラ嬢といると、何でか落ち着くんだよ。どうしてだろうな~~、って言うか食事したら眠くなってきたかも、ふあ~」


う~ん、と背伸びしながら、ついそう呟いたとき、ミラ嬢が何か言ったようだが、俺は気にせずにゴロンと横になり、何でか眠りに落ちていた。

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