第6話 吸血鬼の嫁らしい
これを書いてる時に友人からエロいと言われた第6話です。次くらいから妹出ます。多分。
結構集まってきた。
探偵事務所を設立?して早4日が経とうとしていた。
依頼は毎日のようにやってくるので今日は休みとさせてもらった。
いや、正直休み無いとキツいんで。
そう言えば色々な依頼があったなぁ。
夫に最後の言葉を伝えたり、探しものを探したり、オーケストラを見せたり。
探偵事務所っていう感じでは無いけど。
どっちかと言うとお悩み相談だよねこれ。
「いるか?新垣よ。」
「うわっ!………ってなんだ…セリアか。入る時ぐらい、ちゃんと玄関から入れって何回も言ってるよな。あ、吸血鬼だからっていうのは理由にならないからな?」
「分かってる。今度はちゃんと変えんくて玄関から入るから。」
『セリア = デュベリー』
吸血鬼だが普通に昼間にも行動ができる。
見ためは15歳だが実年齢は900歳を越している。
あとよく私だけ血を吸う。
「で?なんで来たの?」
「吸血しに来た。太陽とか人間の食べ物は克服したけど、吸血鬼だからさ。流石に吸血無しでは生きられないのよ。流石に2週間吸血無しはキツいから。大丈夫か?」
「大丈夫。あ、その前にお茶入れるね。緑茶でいいよね?」
「大丈夫だ。お前が入れるお茶は美味いからな。」
「ついでにさっき作った和菓子も持ってくるね。」
「すまぬな。」
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「流石新垣だな。和菓子も緑茶も美味い。その女子力と家事力分けて欲しい物だな。」
「親がどっか行って妹と過ごしてもう数年経つからね。家事力つけないと妹と犬神さんに迷惑かけちゃうし。」
「犬神のやつ、元気なのか?」
「うん。元気に過ごしてるよ。犬神さんのこと、何やかんやで心配なんだ。」
「まぁな。」
セリアは900年生きている。
そしてセリアと犬神さんは老人会のメンバーらしい。
私と同じクラスなのに老人会のメンバーって結構複雑な気持ちだけど。
「で?今から血を吸うの?あと2日ぐらい我慢出来ないの?」
「流石に無理。それに1週間に1回のペースで吸ってたから今回結構吸うけど大丈夫か?」
「うん。大丈夫。で、いつものくるの?」
「まぁな。今回はざっと2時間ぐらい続きそうだが。」
「うわぁ……あいつ帰ってくるかも……ついでに犬神さんも。」
「ん?妹か?」
「妹は明日帰ってくる。実はと言うと家に鬼が住み着いたのよ。女のね。その子、私のこと、旦那だって言ってて。」
「ふーん。私の嫁を取ろうとはいい度胸してるじゃん。」
「あ、まだ私を嫁だと勘違いしてるのね。私男だよ?」
「嫁に性別など関係ない。」
「あ、はい。」
「よし。そんじゃ血吸うぞ。」
「一つだけ聞かせて。誰かインターフォン押したら出てくれる。」
「………出ると思うが多分お前、ずっとくっついてるぞ。」
「え?なんで?」
「はいはい。吸血後の記憶は消えてることは知ってるから。はい。そんじゃ吸うぞ。意識しっかり持てよ」
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「ん、んっ。ぷはぁ。どうだ?気をちゃんともててるか?」
「うん。大丈夫。ちゃんともてて…ひゃん!?あ、あ、ダメだ……だめだよぉぉこれぇぇ。何回やられても慣れないよぉぉ。」
「そうか。だけどお前の血美味いから。この味じゃないと、ちゅっ、我慢出来ない、くっ、ん……」
「いや、血を吸うのはいいけど、吸いながら話すのはやめふにゃあ……あ、あ、あぁ。」
「ん、ふっ……じゅるるる……ん、んっ。ひひひ……。すご…く……おい…し…い……もっと、もっとのみたひ……ちゅるる……はむっ…!」
「ふへっ!?あ、ひゃん!はぅ……ぁ……ひゃぁ……」
「ふうっ……おっけ。おいひかった。おっと。大丈夫か?生憎だが回復魔法は使えないからの。」
「ん?えへへ。せりあー。いひひ。」
「吸血もいいけど、やっぱりこのレアな新垣の姿も見えるからな。すごく可愛い。それに尊い。」
「可愛い?えへへー。可愛くないよぉ。せりあの方が可愛いってぇ。でもありがとー。」
「あー本当に可愛すぎて尊すぎて辛い!すごく私のものにしたい!」
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私はセリア。
今、とある理由があってクラスメイトの新垣の家にいる。
とある理由とは吸血で、私はこいつの血を吸わないと生きていけない。
「ねーねーせりあー。可愛い?」
やばい。
すごく可愛い。
可愛すぎて死にそう、可愛すぎて辛い、いや尊すぎて辛い。
両手を握って顔に近づけてほっぺた赤くしながら首を傾けてこれ以上ない笑顔でこちらに顔を向けてくる。
これ一応男なんだよね?これ男なんだよね?本当に男だよね?男に見えない!てか男じゃない!この笑顔この仕草、もう神以外に言葉が見つからない!
「すごく可愛い。やばいほど。ねぇ?抱きしめてもいい?てか抱きしめたい!」
「うん!いいよぉ!ぎゅぅってして!」
可愛すぎ。
てか、私可愛いって何回言ったんだろ。
それよりぎゅぅっていう表現可愛すぎない!?
待て待て。
理性を保て私は吸血鬼だ。
アンデッドなんだ………。
「あ、お茶入れるねー。」
「あー大丈夫。てか今のお前は意識が危ないからな。」
「ごめんね。わたし、役に立てなくて……」
「あーそういう事じゃないから!役に立たないとかそういう事じゃないから!お前は十分役に立ってるから!怪我とかされたら困るからさ。」
「ありがとね。優しいねせりあは。」
こいつは昔からお世辞が苦手だからな。
それは今のこいつも同じで、多分本心なんだろう。
とりあえず、今のこいつを第三者に見られたら流石にまずいよな。
いつものこいつからは予想ができないし、それよりも今のこいつは記憶が曖昧なところもある。
新垣は謎が多くとりあえず今わかってることは陰陽師の家系の末路で、伝説の陰陽師『安倍晴明』と血が繋がっている。
後は『二重人格』の可能性がある。
私の吸血行為がトリガーとなり2つ目の人格が現れる。
推測するにもうひとつの人格は記憶が曖昧で性格がほんわかしており、意識が浮かんでいて非常に危険である。
つまり、今のこいつは保護が必要であるってこと。
………それに可愛い。
私は普通は人間に興味を持たない。
が、あいつは例外だ。
魔力を持つ唯一無二の人間であり、吸血鬼である私を受け入れてくれた。
周りから避けられて、親からも捨てられた。
しかしあいつだけは私を見捨てなかった。
私にとってあいつは女神……に近い存在でもあった。
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「………えへへ………そんなことないよ………すやぁ…」
寝言も可愛い。
人格は寝言にも影響、もっと言えば夢にも影響されることが分かった。
「ったく………隙だらけだなほんと。もう少し寝顔を見とくか。」
ピンポーン。
「はいはい。今出ますよーっと。」
インターホンが鳴ると私が出ないといけない。
今は。
いやだって今のこいつ危ないし臆病だしそもそも寝てるし。
「帰りましたよーってセリアさんじゃないですか。どうしたん?家にいたの?いたら連絡してくれたら良かったのに。」
「あー犬神だったか。なら良かった。郵便とかだったらハンコどこにあるか分からんからな。」
やっぱりいつ見てもでかいなほんと。
身長もそうだが……その……胸も。
ほんとこいつの養分大体胸に行ってるんじゃないかと。
身長は新垣より高い。
いや新垣が身長が低いだけか。
私の身長は157.5cmで新垣は155.3cm、そして犬神は165.5cmを
新垣と10cm近く身長差がある。
「利光さんは?」
「リビングで寝てる。」
「お客さんが来てるのに本当に困った子です。後でちゃんと叱っときます。」
「いやこれは私が悪いんだ。多分あいつも疲れてるんだろ。」
「でも利光さんはあんまり眠たそうじゃないような気がしますが。」
「せーりーあー。どこにいるのー」
「あ、起きた。」
「え??利光さんそんな性格でしたっけ。」
あ、そうか。
犬神は知らないのか。
「あー。そのー。何というか。そのー。」
「あ、いた。……で、でかい……怖い!」
「私、嫌われた!」
「すまん。こいつ今記憶が曖昧でな。それに、身長が10cm近く差があるんだからそりゃ恐れられるわな」
「でも、小動物のような利光さんも可愛くて……これはこれで……おっと。尻尾が出てしました。」
「その興奮すると尻尾が出るのは昔から変わらないな。とりあえず部屋に入れ。」
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「まぁ色々ありまして今会議が終わりました。」
「なるほど。てか会議中に電話する馬鹿がどこにいるんだよ。」
「まぁそれもそうですね。」
「そして、今の新垣についての……新垣?おーい。どこにいるんだ。」
「まさか、迷子!」
「いや、流石にそれは………おい、お前そこで何してんだよ。」
「もふもふー。尻尾もふもふしててきもちいい……ねむたくなる……」
「………ほんとに考え方が幼児化してるな。おいそこにいたら危ないし犬神に迷惑かけるぞ」
「大丈夫ですよ。むしろご褒美です!」
「ダメだこいつら早く何とかしないと。」
「それは酷いですよーセリアさん。あなたもこの子可愛いと思いません?」
「まぁ………否定出来ないが。」
「とりあえず、いつになったらこれ戻るんですかね。」
「まぁあと数時間したら戻るだろ。」
「なんか不安ですねそれ。」
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「ん……あれ?私、寝てたのか?って3時間も経ってるじゃん。……ってこれ膝枕?」
「お、起きたか。」
「セリアか……私、迷惑かけたか?」
「いや。むしろかわ………いやなんでもない。」
「ありがとね。」
「え?」
「いつも私の味方してくれてさ。私実は凄く嬉しくて。なんやかんや言って私、セリアのこと好きだよ。あ、恋愛とかの意味じゃなくて、友人としての。セリアは嫌だと思うかもしれないけど、私はずっとセリアの友人でいるって決めたから。なんて。ちょっとくさかったかな。」
「………」
「どうした。なんで泣いてるんだよ。当然だろ?」
「ありがとな。本当に。お前と知り合えて本当に幸せだよ。」
こいつはお世辞が苦手だ。
だからこいつの言葉は本当なんだと思う。
鈍感だけど、私はこいつが好きだ。
いつか、絶対私のものにしたい。
だけど、今は甘えよう。
こいつ……いや、彼は昔から変わらない。
いつもいつも、私を闇の世界から連れ戻してくれる人だから。
そして、私の中でいちばん大切なひとだから。