第3話 鬼の嫁だから鬼嫁らしいです
前回までのあらすじ
夜ごはんの食材を買いに行く途中に神社で虐められていた少女を助ける。しかし、その少女はなんと鬼だった!そして主人公は伝説の陰陽師”安倍晴明”の末裔だった。人間と妖怪。人間と宿敵。2つの運命の歯車が重なり合う時、少年の運命は大きく動き出すことになる
(内容はそんなに壮大ではありません)
”鬼”様々な民話や説話、郷土信仰などで出てくる日本の妖怪の1つ。
桃太郎、泣いた赤鬼などといった鬼が出てくる作品は有名なものが多い。
昔話などで出てくる鬼は強い、怖い、悪いと言われ、いつも厄災扱いされている。
一般的には頭に角が1本か2本生えており、口には牙が生えており金棒を持っている大男というようなイメージである。
しかし元々は姿がなく、人間に化けることが出来る。
もしくは鬼は普通の人間と見た目が変わらないのかもしれない。
……何年か生きてるけど、鬼を見たのは今回が初めてだけど。
鬼は一般的に人に危害を加え、更には人を食べてしまう存在と考えられている。
そりゃ人の物盗ったり人を襲ったり驚かしたり村を襲ったりしてるからね。
そして毎回のように主人公に討伐される。
中には全く悪くない鬼だっている。
…そう考えると鬼って結構可愛そうな生物だな……。
偏見って怖い。
他にも鬼は様々な比喩表現にも使われる。
夫に強くあたる嫁を鬼嫁。
将棋の有名な奇襲戦術の一つである鬼殺し。
鬼のような鋭い牙を持つ魚オニバス。
中には鬼殺しと呼ばれるお酒だってある。
鬼の起源は平安時代と言われている。
安倍晴明、鬼。
まさかこの子は……そう思い、聞いてみた。
「女性に年齢を聞くのは失礼なんですけど、何歳なんですか?」
そしたらその少女はこう言った
「わしの年齢か?845歳じゃ」
やっぱり。
今は2030年。
845歳と言うとつまり1185年か……。
私と827歳も歳の差あるのか……えぇ……全然見えないな本当に
「あの……名前を教えてないかな?」
「わしか?わしの名前は桜木 空と言うんじゃ。 どんな呼び方でも構わないよ主様」
あ、あるじさま?あれ?私いつの間にに主になったの?
「えー……っと。私がいつ主になったの?」
私は聞いてみた。
いやだって気になるし。
「主様がわしを助けてくれた時にもう主様は主様じゃ。」
あ、そう言うことなのね。
てかこの子、家あるのかな?
「家は?家はあるの?」
「無いの……実はと言うと、人間の襲撃で村が燃えてしまってな。それでわしの家が火事にあっての……」
昔話になんか似ているな……人間の復讐か……。
なんか……可哀想だな……。
「そうなんですね……良かったら私の家に居ませんか?居候みたいな感じで?」
実年齢は800歳を超えている。
だけど見ためは15際ぐらいで……また虐められたら可愛そうだから家に居候させようと思った。
……犬神さんに後で了解取っておこう……
「いいのか!?本当にいいのか!?主様みたいな人に出会えて……わしは本当に幸せ者じゃ!」
困ってる人を放置するほど私はヤワではない。
それが妖怪でも人間でも。
「よし!今からわしは主様の嫁じゃ!」
……はい?いや、なんで?つまり…鬼の嫁だから鬼嫁ってこと?
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「てなことがあって私の家に鬼が居候することになりました」
「へーとっしーの家本当に凄いね!流石陰陽師の家系だよ!犬神さんの許可ちゃんと取ったの?」
「うん。取ったよ」
「犬神さん優しいなぁ……てかとっしーと本当に血が繋がってないんだよね?毎回見てもこの髪の色には驚かされるよ」
今、私が話してるのは同級生の”橋口七海”。
昔からの知り合いでよく相談とかを聞いてくれる。
あと妖怪が見える。
私は一応、日本人の親の間に生まれた陰陽師の末裔。
しかし私の髪の色は白髪……いや、銀髪?とりあえずそんな感じの髪の色である。
正直、犬神さんが居てくれて良かった。
犬神さんいなかったら多分この高校にはいないと思う。
後で犬神さんにお礼言っておこ。
「なんかとっしーって女装似合いそうだよねぇ……」
あ、いつものパターンだ。
てか私何回女装させられたと思ってるの!?
「それ以前に何回もさせられてる気がする。」
「だって可愛いもん!とっしーの私服って凄い女子力高いじゃん!」
…いやそれは犬神さんが選んだ服だって。
私も好きで着てるわけじゃないから。
「でも問題は妹の方だよね。家に帰ったら鬼がいるんだよ?それにブラコンでしょ?」
確かに。
私の妹はすごくブラコンだとよく周りから言われる。
正直よく分からないけど。
でも確かに家に帰って鬼がいるって考えると……中々にホラーだ。
あーでもどっちかと言うと家に見知らぬ人がいるって考えた方が自然かもしれない。
いやどちらにせよ中々にホラー。
てか鬼って豆が嫌いって言うけどそれ、本当なのかな……後で聞いてみよ。
「今日とっしーの家に行ってもいい?久しぶりに犬神さんと話したいし、鬼見てみたい!」
「別にいいよ。」
それぐらいならいいし、七海は虐めたりしないことは分かっている。
「そんじゃー帰ろー。行ことっしー!」
「あっ待って。明日の夜ごはんの材料買うから」
「はいはい主夫さん。私も手伝う!」
何やかんやで私は高校生活を楽しんでる。
いつか、陰陽師のことを活かせるような仕事をしたいなぁ……例えば困ってる妖怪を助けるとか。
そんな事を考えながら私は毎日のように家に帰る。
別に人と変わったことはしていない。
ただ、妖怪が見えるだけである。
なんか最終回みたいな終わりかただななんか。
そんな事も思ったりする。
なんかあったなぁ……俺たちの旅はこれからだ!って言って打ち切りになった作品が……まぁ良いか。