第1話 冬の町で出会った少女
寒い。
とてつもなく寒い。
例年と比べ物にならないくらい寒い。
まるで日本全体が凍るんじゃないかと思うぐら
いに寒い。
季節は冬。
あー……早く春にならないかなぁ……。
冬は嫌いではないが寒いのは嫌いだ。
早くコタツに包まってみかんを食べたいなぁ。
今日の夜ごはんは何にしよう。
やっぱり冬はお鍋かな。
こんな事を考えながら帰るのは正直嫌いではな
い。
むしろ好きだ。
下校中に男の人からナンパされることだってあ
る。
いや、私男なんだけど。
だけどそんな事が出来るこの国はすごく平和
だ。
この国に生まれてよかったな。
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今日は学校が休みなので明日と明後日に使う食
材を買い貯めしておいた。
……鬼殺し買いすぎたかな……。
今の日本は昔とは違う。
成人の基準が20歳から18歳になった。
だから私はお酒が飲めるようになった。
初めは抵抗があったけど、今になっては美味し
いと感じるほどになっていた。
「こら!離せ!離さんか!」
神社の方から声がした。
女性の声だった。
よくよく聞いてみたら私と同じぐらいの人の声
だった。
私は颯爽と神社の方に向かった。
「そこで何やってるんですか!その人を離しなさい!」
私は声を掛けた。
「あ?なんだ女。俺らに歯向かうのか?」
見ためは20代後半くらいだった。
「その人が何をやったんですか?」
理由を聞いてみた。
理由を聞いたら何かわかるかもしれないと思っ
た。
「特に理由はねぇよ。ただこの女が憎たらしいだけだ」
呆れた。
本当に呆れた。
なんか相手にするのが面倒くさくなった
「警察に通報しますよ?」
そしたら男が、
「やれるもんならやってみな!ビビって無理だろうけどな!」
いや、ビビらないって。
「すいません。警察ですか?今神社の前で女の人が3人の男性に虐められてるんですよ。大急ぎで来てくれませんかね?」
警察に通報した。
だってそっちの方が手っ取り早いし。
「お前……マジで電話したのかよ。お前ら……逃げるぞ!」
その男の人たちは逃げていった。
電話をするフリをしただけだって。
私は倒れている女の人に近づいた。
重症とまでは行かないが、かなり怪我をしてい
た。
しかし病院が必要って程ではなかった。
「これは手当をしなければなりませんね。」
私はその少女を抱きかかえて家に帰った。
この出会いが後に私の人生を帰ることになると
は、当時の私は知る由もなかった。