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1話 日常はあっさりと崩れる

 目を細め夕日がまぶしいのを我慢し、買ったばかりの新刊のラノベ、計3冊をその日のうちに読み終えるべく、本の入ったビニール袋を手に青年は帰路を急いでいた。



「早く帰って読破しなくては......」



 青年の名は城島(きじま) (そら)

 空はいつもと変わらない日常を過ごしていた。



「チッ! また赤信号!」



 強いて変わっていた事と言えば、全ての信号が赤信号だった事くらいだろう。



「こっちは急いでいる時に限って、どうして、こう......」



 空は信号が緑に変わり駆け足で急ぐ。



「疲れるから嫌なんだけどなー」



 しかし、変わったことっていうのは、大抵突然に訪れるものだ。



『あ、あなたは――』


「ん?」



 空は声が聞こえた気がしたが、気のせいだと頭を振り、足を進める。



『あなたは観測者に選ばれました』


「んな!!!!!」


 

(やっぱり聞こえた!)



 だが、そう思った時には既にことは済んでいた。


 視界が真っ白に染まり、空の意識は途絶えた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「う、うう......頭が痛い」



 空が目を覚ますと、土壁で四方を囲まれた学校の教室くらいの空間にいた。そして、視線の先には、透き通った真っ赤なバスケットボールサイズの水晶玉がある。



「どこココ? それとあの赤いのなんだ?」



 空が混乱している中、ふと呟いた言葉に声が帰ってきた。



『ここはマスタールームです。赤い玉はダンジョンコアです』



「だ、誰だ⁉︎」



 突然聞こえてきた抑揚のない機械的で男性とでも女性とでも取れる声に空は慌てふためき、警戒心を一気に募らせる。



『私は貴方様の質問に答える者です。それ以外の何者でもなく、質問が終わり次第消えます』


「し、質問? 消える?」



 空には何が何なのか全く理解ができないが、この時を逃せば『消える』の言葉通りに、質問出来るチャンスが無くなるのであろうと、そうなんとなく理解した。


 混乱している頭をなんとか落ち着け、空は質問をする。


「え、えっとー。それじゃあここはどこにあるの?」


『千葉駅駅前近くの地下です』



 空はそういう事を聞いたのではなかったのだが、ここが地下にあるということが判明した。その上駅前、地下にあったものがどうなったか非常に気になるところだ。



「それじゃ......この空間は何? それと、地下にあるっていう事だけど、もともとあったものはどうなったんだ?」


『この空間はダンジョンマスタールームです。元々あったものに関してはどうにもなっていないです。ダンジョンが作られる時、次元が歪められているため問題が出ないのです』



(ダンジョン⁉︎ 次元⁉︎)



「えっと、ダンジョンマスターって何? そもそもダンジョンって?」


『ダンジョンマスターはダンジョンを管理する者のことです。ダンジョンマスターの目的は人類進化です』


『ダンジョンとは、その目的のため人間に試練を与え、魂を強化するために作られるものです』


「......人類進化って何?」


『神が人類に期待している事です。具体的に言えば『神の位』を得ることができれば最良です』



 つまりは神とやらの目的で、空がダンジョンマスターに選ばれ、ダンジョンを作り人類を進化に導け、と。

 空は混乱しながらも問いを返す。


「『神の位』ってのはどうやったら手に入るんだ?」


『魂を強化していけば、手に入ります』



 『魂の強化』それと強化する場所として設けられた『ダンジョン』のことを合わせて考えるに、モンスターを倒してレベルを上げろという事なのかもしれないと空は考える。



「俺は何で観測者?とやらに選ばれたんだ?」


『資格があったからです』



 その資格と言うのが何のことだか分からなかったが、空はそういうものとして納得した。



「............」



 未だに混乱している空だが、神とやらが『逃げ場』だなんて用意していないのだろうと、その事だけははっきりと理解した。



「ダンジョンを作るにはどうしたら良い?」


『赤い宝石に触れてください。知識が頭に流れ込むようになっています。そして、触れれば私は消滅します』



 宝石に触ればスタート、質問を答えてくれる声が消える。


 空には覚悟なんてものはほとんどないし、これから起こる事も全く分かっていない。


 だが、逃げることのない状況で、もう質問が思いつかない状況で、宝石に触れるという選択肢以外、空に選ぶ道はなかった。


 そしてその数時間後、地上に突如として黒い門が出現し、大いに世間を騒がせることになる。

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