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11話 企み事

 自衛隊がダンジョンに拠点を作ってから、さらに一月経っていた。


 自衛隊はせっせとダンジョンを探索し、今は第二階層を攻略している途中だ。


 一方の空はというと、第六階層を完成させ、さらには第七、第八階層までも作り終えている。

 そして、それをしてもなおあまりあるDP残量を見てを空は気分が最高潮だった。


 この一ヶ月間のわずか三週間ほどで自衛隊は第一階層を突破し、第二階層へ到達した。また、それに伴って新たにダンジョンに潜る隊員を国は補充したのだ。

 もちろん隊員が死んで数が減ったからでは無く、むしろ死んだ人数は0だった。

 では何故人員を補充したのかだが、もう一度第一階層を攻略することで新規をレベルアップさせ、戦力を増やそうと言う魂胆だ。


 それは空にとってありがたいことではあるし、今後の計画にどうしても必要になることなので願ったりだった。


 そして今、空は使っても使っても増えていくDPをもっと盛大に使い、さらにDPをさらに稼ぐための方法を、空好みになったマスタールームで一人考えていた。



「DPを得る方法はログインボーナスの他にダンジョン内でレベルのある者を殺す事と、五分毎に貰えるものの3つだけ」



 ログインボーナスとは日をまたぐと100DP貰えるので、そう空が勝手に言っているだけだ。



「レベルが高い奴を殺せばそこそこDPは貰えるけど……それには限りがあるし、高レベル者を殺すのは何かともったいない」



 レベルを上げるのはそこそこ簡単な事だが、DP欲しさに何人も高レベル者を殺していては階層の攻略に遅れが出る。

 それは空にとっても挑戦者にとっても都合が悪い事であり、殺すのはあまり取りたくない手段であった。



「そうなるとダンジョン内にいる人数を増やせってなるよな。今は200人くらいいるけど、第一階層だけで見ても過疎ってるんだよな」



 第一から第五階層は洞窟構造にっているが、入り口の広間のような広い空間がわりと多くあり、その上分かれ道などが多く階層自体はとても広いものになっている。

 また、分かれ道の半分くらいは次の階層にいく階段のある広間に繋がるようになっている。



「自衛隊をもっと連れてくるってのもあるにはあるけど……限度があるだろうな。それに階層をクリアする度に来るんじゃ遅すぎる」



 と、モニターに映るヘビ型の魔物のバイパーに苦戦している自衛隊を空は横目で見ながら言う。



「はぁ、ヘビに良いようにされちゃって……もうちょっとレベル上げるか訓練するかすればいいのに」



 6人からなる小隊のほとんどがは、地を這いながら襲ってくるバイパーに悪戦苦闘していた。

 体の小さなバイパーが地面にいるため攻撃がしにくく、後ろから奇襲されて壊滅の危機に会うなど、未だに死者がどの隊にも出ていないのが不思議なくらいである。



「自衛隊の増援は時間が掛かるし、制限が付きまとって新たに出動できない可能性がある。それなら別の方法を考えるか……人間なんてそこいらにゴミみたいにるし、一財産を築けるってなったら来る奴らはいくらでもいそうだな」



 ダンジョンでは宝箱からいろいろな物が手に入る。金銀財宝に魔法を使える道具、どんな怪我や病気でも治す薬なんてものもある。ただ、今ある階層では最高品質の宝箱でないとその薬は出ないのだが……。



「ん? いつも不思議に思っていたけど、なんで魔石なんて持って帰ってるんだ? 魔石って魔物の残りカスみたいなものだし、放っててもダンジョンが処理するのに……もしかして価値があるのか?」



 空の頭の中にあるダンジョンの説明書には魔石が何なのか載っている。


 『魔石は魔物を倒せば必ず出て来るが、それは魔物を生み出す時に核とした埃などである。また、魔物を倒したとき確率でアイテムをドロップすることがある』


 しかし、その利用方法までは書いて無く、そもそも載っていないのだから利用価値が無い物なのだと空は思っていた。



 だが、小隊が必ず魔石を拾っているので何かあるのだと空は確信した。



「調べてみようかな? そろそろ取ろうと思っていたところだし、海外映画みたいで楽しそうだ」



 そう言って空はニヤニヤしながらウィンドウを出して操作するのであった。

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