「あーうー?」
……………………あれ?…………俺、生きてるのか?確か…………ゴブリンから逃げてて…………弓を向けられて…………そしたら目の前が真っ白になって…………。避けれないと思ったんだけどな……でも何か、ふわふわしてる感じがするし、走馬灯ってやつか?
でもそれにしては周りに木なんて数えるくらいしかないし……というかビルが立ち並んでるし……ビル?ああ成る程、前世の世界か。という事はつまり――
「〜〜♪〜〜〜〜♪」
――前世の『俺』がいる、と。
あーあ、イヤホン付けて呑気に歩いて……事故に遭った原因はこれか。そうだったそうだった、ヤンデレ女が珍しく用事があるからって別れて、高校の帰りに本屋寄ろうと思って、暇だったから音楽聴いてて、車に轢かれたのか……何やってんだか『俺』は。
「あーあー……異世界に転生でもしねぇかなぁー……」
そういえばこんな事ぼやいてたな。実際転生しちゃったけど……。
「転生したらあのヤンデレ女から逃げられるし……万屋でもやりたいなー……そんでもって情報を操作したり、魔物を空間ごと斬ったりとか……夢が広がるなー」
『俺』はかなり妄想好きだったよな、こんな事言ってるし……でもまあ空間ごと斬る、ねー……。やらない後悔よりやって後悔、か?
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気がつくと前世の世界ではなく、今世の世界に戻っていた。でもゴブリンが二匹いて、矢が飛んで来てるのは変わらないが……やってみるか。空間ごと斬る、空間ごと斬る……。
「っはぁぁ!」
「グキャァ!?」
「ギャッ!?」
なん……だと……?飛んで来てた矢ごとゴブリン二匹斬れた……だと。
「はは……あはは……あっはははは、ははははははは!」
危なかったぁー、前世を思い出さなかったら即死だった……。はあ、これで魔物は何とかなる、か。
「あーうー?」
「ん?おお、大丈夫か?」
流石に大声出しすぎたせいか、義妹が起きてしまったか。にしても我が義妹ながら可愛いな、将来は超絶美人になること間違いなしだな。っと、ん?これってどう見ても、あれに見えるんだが……?
「まさかこれって……」