「「――魔王が現れた」」
あれから依頼受けたり、ドラゴン狩ったり、依頼受けたり、ドラゴン殺ったり、フィーを一日中にゃんにゃんさせたり、依頼受けなかったり、勢い余ってドラゴン消滅させたり……イロイロやって二ヶ月くらい経った頃。
*因みにここでいう「にゃんにゃん」とはフィーに猫耳を装着させて愛でるだけである。寧ろこれ以外にある? あるって人は回れ右して帰ってくだしあ。
「それでね、まぁたリリとルルが悪戯しちゃて
ねー。大変よー」
「……子供は、元気いっぱい」
「あっはは、彼奴ら本当に悪戯好きだな。まるでお前の子供時代そっくりだよ」
「ちょっ、そんな昔の話はよしてよ!」
仕事が休みなのか、リリとルルの母親のビアンカが遊びに……というよりは愚痴を言いに来ている。あの双子は近所の子供にも平然と悪戯をするらしい。……まあ、この国は治安良いし、大丈夫だろ。
「ん?」
「……これ、は?」
「どうしたのよ、二人とも? 明後日の方を向い
ちゃって……」
禍々しい魔力が膨れ上がっている……か。もしかしたらもしかするかもしれないな。なかなかに面白い事態になってきた。どうせその内分かる事だし、暴露しても問題はないだろ。俺はゆらりと笑った顔で振り返り、フィーはいつもと同じく無表情で振り返る。
「「――魔王が現れた」」
フィーと言葉が重なる。こういう時は心で繋がってると感じて嬉しくなるね、うん。
「…………魔王って、あの魔王?」
「多分、それで合ってる」
「……異世界から現れた、魔王」
フィーがそう言うとビアンカは絶句していたが……溜め息を吐き、言った。
「この二人がいる時に復活とか……敵ながら可哀想に……」
「うわー、その言い方傷付くなー」
「……悲しい」
まあ言いたい事は分かるし自分でもそう思ってるけどな。さてさて、どんな魔王かその面を拝ませて貰おうか。『天眼』で…………いた、けど、これは……。
「……どうしたの?」
「ん……後で話す」
「……わかった」
自然と顔を顰めていたらしい。深呼吸を一つし、ビアンカに話しかける。
「とりあえず、もう帰った方がいいんじゃないか
な?」
「んー、そうね。家でゆっくり休ませて貰うわ。またねー」
「ほいほい、さいならー」
「……さようなら」
ビアンカは双子を待たせているので駆け足で帰って行った。