【すぅー…………んむ……】
「あの……依頼料は、いくらですの?」
「ん? …………ああ、そういえばそうか」
やべ、全く考えてなかった。でも昨日のは偶然だ
し、今日のは確認しただけだし……。
「そだねー……銅貨二枚かな」
「えっ……それだけ、でいいんですの?」
「もちろんさー」
「……噂通り、ですね」
「知っているの? クレア」
「はい、お嬢様。噂曰く――名も無き店は格安で依頼を受けてくれる、と」
「ほーん、そんな噂あったのか。まあ本当のことだしいっか」
やっぱり金がかかり過ぎるのは良くないと思うん
だ。格安の方が客受けがいいと思うし。あ、因みに銅貨一枚は元の世界で言うと百円な。
「では、これで」
「はいよ……さて、これで依頼は終わりっと。お茶でもしていくかい? お菓子程度なら出せるけど」
「そう、ですわね……クレア?」
「お嬢様の仰せのままに」
「そう……なら、用意してもらっても?」
「りょーかい、向こうで双子の相手でもしといてくれていいぜ?」
「気が向きましたらね」
ちっ、双子の相手は面倒だから押し付けようと思ったのに……まあいいか。どうせあいつらの方から突撃でもするだろうし、放置だ放置。
「では先に行ってますわよ」
「お先に失礼します」
二人とも行ったし探すか……確か『空間』で創った適当な所にポイしておいたはず……。
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さてと、無事にクッキー見っけたからリビングに行ってみたら……なんとそこには――
「「わははー、我々の勝利だー!」」
「きゅー…………」
「ズズ……中々に美味」
「感激の極み」
【すぅー…………んむ……】
お嬢サマーはうつ伏せで倒れ、双子はその背中に乗ってエレガントなポーズを決め、フィーは紅茶を飲み、メイドは看過し、ティアは寝ている。いったいどうしてこうなったし……。
双子が決めている「エレガントなポーズ」は某空気を読める女性のフィーバーです