「じー……………………」
「……………………」
「…………お嬢様?」
「えっ、あっ、失礼しましたわ、私としたこと
が……」
するとお嬢様(確定)は咳払いを一つし、
「改めまして、昨日は助けていただきありがとうございましたわ」
お礼を言ってきた。……うーん、何だかなぁ。
「別にいいさ、助けれたのは偶々だし。お礼を言われるためにやった訳でもないからな」
「それでも、ですわ。あなたの助けがなければ……もう、この世にはいなかったでしょうし」
「うっ……申し訳ございません、お嬢様……」
メイドとはいえ、やっぱり獣人だからなのか耳と尻尾がへにょりと下がる。お嬢がメイドを泣かした
(棒)なんて酷ぇやつだ。そんなやつにはジト目をプレゼントしてやろう。
「じー……………………」
「えぅ、いや……ク、クレアは全力を尽くしていましたし、気にしてませんから、ね!?」
「はい、知っております」
メイドが笑顔になって返した。こやつ、できる! 嘘泣きなのは分かっていたが隠そうともしないとは……そんなステキなメイドにはサムズアップをプレゼントだ。
「気が合いそうだな」
「お褒め頂き光栄にございます」
「はぁ…………もう、いいですわ……」
サムズアップして固い握手を交わした俺たちを見
て、お嬢サマは色々と諦めたようだ。全く……溜め息をついたら幸せが逃げるということを知らんのかね? お嬢さまに心労をかけさせるのは一体ダレナンダローナー。
「こちらをどうぞ」つ鏡
メイドに鏡を差し出されてしまった。……こいつ、実は転生者でしたーってオチか? なんで反応できるんだろ……。スキルを使えばわかるとはいえ、それはつまらないしな……。まあいっか、細かいことは気にするなってばっちゃが言ってた。(←なお顔と名前は知らない模様)
「あ、そういや自己紹介まだだったな。メイ・ライゼンデだ。これからもご贔屓に」
「そういえばそうでしたわね。私はエルザ。エルザ・ハイリッヒよ。一応は貴族ね」
「お嬢様のメイドをしております、クレア・カトーネと申します」
なんか今更な気がするが自己紹介をしておく。さてさて、ちょっとした誤解も解けたしこれで終わ「あ、あの!」……まだ何かあったっけ?
やばい、メイドさんが勝手に動く……