「知らない場所だ……」
「知らない場所だ……」
俺は転生した。いわゆるテンプレというものだろう。
死んだ理由は車に轢かれた気がするけど、神様に会った記憶はない。まあ気にすることは無いだろう。細かいことを気にすると禿げるからね、仕方ないね。
さて、何をすればいいのか……あったとしても何も出来ないじゃんか、とりあえずわかってることをまとめ……る前に一つだけわかることがあったか。
理由はわからないが――なんで幼い俺が、知らない森の中にいるんだ? それに俺より年下? くらいの幼女が一人寝ているし……。
オーケーオーケー、落ち着け俺、落ち着くんだ。まずは素数を数えよう。一、二、三、五、七、十一、……一は素数じゃねぇよ馬鹿野郎! とりあえず昨日あったことを思い出すんだ。
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確か……そうだ、俺が母親にこの世界の国に関する絵本を読んでもらっていた時に、冒険者である親父が知らない女性と幼女を連れて来たんだ。それで言い争いになって、母親が離婚して家出て行って、知らない女性もいなくなって……
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そっからの記憶が無いな。まあ、捨てられたと見るべきか。とすると、俺の隣にいるこの幼女は……義妹ってことにしておこう、うん。
そんでもって、どーすっかな。知らない森の中にいるけど、助けは来なそうだし。薄暗くて動きたくないし、一応果物らしき物はあるけど……取れる気がしないしな。うーん、もういっその事寝ちまうか? 眠くなってきたし草は生い茂って柔らかそうだし。
ん?待てよ、待て待て待つんだ俺。
俺は今何処にいる?――森の中だ。
この世界の森は?――何処も明るかったはずだ。
じゃあこの薄暗い森は?――『魔の森』じゃないですかやだー!?
『魔の森』……通称『魔界』とも呼ばれる所であり、間違っても幼児がいるべき場所じゃない。確か魔物がうようよいたはず……!
と、ととととりあえずず、呑気に寝ている義妹を起こしてだnガサッ!
……ガサッ?ひょっとしてこれが俗に言う――
「キシャァァ!」
「へぁぁぁぁぁぁ!?」
――『フラグ』ってやつかー!
「う、うわああああああ!!」
戦えるわけないので義妹を担いで逃げるしかない!
「キシャシャ!」
やべーよ追いかけてくるよ!浮気したクソ親父に憧れてたのは黒歴史だけど鍛えるきっかけになったことだけは感謝しとくぜ! 今だけだがな!
全身が緑色で人型、一メートルくらいの身長、そして角? らしきものが見えたからおそらくはゴブリン! なら奴は魔物の中でも最弱……故に! この薄暗くて生い茂っている『魔界』ならなんとかなるはず……!
「っは!ざまあ見や…………!?」
「キシャァァ!キシャァァァァァ!」
「キシャシャシャシャ!」
なんで二匹に増えてるの!? しかも片方は弓を構えてますし!? あっやべ、オワタ……何か世界が遅く見える……しかも視界が白くなってきた……第二の人生、もっと……生きたかったな……。