好きな子に名前で呼んでもらおうとしたら嫌われた件
初投稿。思いつきの為短いし、続きはないです。
ー・ー・ー・ー・ー・ー
パシッ
「・・御門のバカっ!」
少年は少女の突然の平手打ちに呆けた。
その僅かな時間に少女は駆け出し、少年の下を去ってしまった。
茫然としながら少年は思う。
どうしてこうなった。
誰でもいい。
愚痴を聞いてはくれないだろうか。
あ、丁度良い所に来たな。聞いてけ聞いてけ。
俺、御門 曉は今し方フラれたのだ。
「曉と呼んでくれないか?」
この一言によって。
何処で間違えた。何を間違えた。
俺には其が理解出来ない。
元々こんな状況下で恋に堕ちた事こそ、間違いなのかも知れない。
ん?“こんな状況下”とは?
ああ、説明がマダだったな。
2年前、俺はこの世界を救うため呼び出された。
つまりこの世界の住人では無いということだ。
知っている?あの場に居た?
そういえばそうだったな。
初めて見たこちらの人間は、お前だったものな竜頭。
異世界なのに殆どの人口が黒髪黒目で驚いたな、あの時は。
言語も同じだしな、日本と。
なら何が解らないんだ?
え、そこから間違いだと思うのが解らない、と?
考えてもみろ、俺は何時この場から消えるとも解らない人間だ。
特に魔王を倒してしまった、今の状況だとな。
姫さんと両思いになったとして、その後俺が消えたら姫さんはどうなる?
・・そういうことだ。
なら、結果的にフラれた方が良かったんだ。
姫を悲しませるぐらいなら。
悪いな、愚痴に付き合わせて。
お前も休めよ、おやすみ。
ーー竜頭視点。
私が同行することになった勇者様は変わり者である。
現に、先程迄愚痴として聞いていた、姫様に振られ?事件は勇者様の勘違いだ。
端から見たら勇者様と姫様は両思いで、とっととくっ付k(ゲフン、良い仲になられるのを同行者一同、生暖かく見守っているのだから。
それにしても勇者様ーーミカド様は変わり者だ。
何故、アカツキと呼んで欲しい等と言われたのでしょう。
そりゃ、姫様ーーシロハ・ユーナギ様だって怒りますよ。
未だに名前で呼んでくれないのに、それに加えて自分のことを苗字で呼べなんていったら。
何時になったらあの二人結ばれるんでしょうね。
あ、申し遅れました。
私、リュート・シランと言います。以後お見知りおきを。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
御門 曉[ミカド・アカツキ]
異世界に救世主として呼び出された少年。
黒髪黒目で日本語を話す(本当はその世界の公用語を曉が飛ばされた時に、喋れるようになっただけ)世界だと思い込み、苗字が先だと断定した。
その為、色々すれ違っていることに気づかない。
竜頭 紫蘭[リュート・シラン]
勇者の勘違いを変わり者で済ませる青年。
曉が呼び出された時、その場にいたのはシロハ付きの護衛騎士だった為。
勇者に同行するシロハの為、王様がリュートも同行させた。
白羽 夕凪[シロハ・ユーナギ]
ある国のお姫様。
世界が災厄に見舞われる時、救世主を呼びだすという巫女の力を持つ少女。
いきなり連れてきたにも関わらず、この世界の為に尽力してくれた曉に惚れている。