7話 適合
文字数がいつも少なくてすみません。
「私はこの国の王のアルベルト=グラディウスだ。
君が私の娘を助けてくれたコウ カンザキという者か?」
「はい、森の中を歩いていたら近くで争っている音が聞こえたので、見に行ったらセ…王女様が襲われていました。」
「セシリアと呼んでも構わんのだぞ?」
「いえ、そういう訳には。」
「まぁよい。だが何故あのような森の中を歩いておったのだ?」
「ここ王都にある王立魔法学園に今年度から入学することになりまして、向かう途中でした。」
「なら娘と同じ年だな。」
「それは知りませんでした。」
大人びた雰囲気があるから俺より年上かと思った。
「まぁ無駄話はこれくらいにして、早速手合わせ願おうか。」
「はい?」
「あのA級犯罪者ギルバートを一瞬で倒したのだろう。ならば手合わせをせずになんとする?」
国王が脳筋だった!?
「恐れながら、私は剣も持ってはいません。このような状態で国王陛下と手合わせをするのは失礼にあたると思いますので辞退させて頂きたくお「それなら心配いらん。国庫にある王家秘蔵の武器庫から合ったのを選べば良い。
それで良いな?」
「はい。」
突然声をかけられたのに驚く様子もなく逆に呆れた表情で答えた、これまた国王と同じぐらいの年でかっこいい男が答えた。
宰相か大臣だろう。
「そうですか…分かりました。」
「よし、そうとなったら直ぐに始めよう。
アスレイ、コウを直ぐに武器庫に案内するのだ。」
「分かっていますよ。」
アスレイとはこの宰相の様な人の名前らしい。
そのまま武器庫へ移動していたら話しかけられた。
「すまないな。」
「なんのことですか?」
「陛下のむちゃぶりだよ。」
「少し驚きました。」
「昔からそうでな。
私と陛下は同じ学年で魔法学園に通っていたんだがあの時から強い者を見ると勝負を仕掛けに行っていた。」
「えっと、あなたも魔法学園に通っていたのですか?」
「あぁ私はアスレイ。普通にアスレイと呼んでくれていい。」
「分かりました、アスレイさん。」
「話を元に戻すが、私も通っていたよ。
今はこの国の宰相をしているが。
っと着いたか。」
目の前には厳重に鍵がかかった扉があった。
「この扉は鍵を開けるだけでなく、特定の人の魔力を流さないと開かないようになっている。」
「かなり厳重ですね。
特定の人の魔力ということは他の人では開けられないということですか。」
「この中には魔剣や聖剣、歴代の王が作った高価な剣などがかなりあるからな。
惹かれるか?」
「はい、凄く楽しみです。」
「君に合った剣は中に入れば分かると思うよ。」
そう言われ中に1歩踏み出した瞬間奥の方から懐かしい感じがした。
「この感覚ですかね?」
「感覚は人それぞれ違うらしいから分からんが、ひとまずは行ってみよう。
真ん中の棚が皆が思うような形をした剣で、右が変わった形をした剣や特殊な武器、そして左が呪われた武器や魔剣、聖剣が置いてある。
手前から奥に行く程に等級が高くなっていく配置になっている。」
「この感覚はたぶん左奥からしています。」
感覚を頼りに歩いて行くと左の1番奥でかなり高級そうな箱の中から洩れてくることが分かった。
「たぶんこの箱の中に。」
「なん、だとっ」
アスレイさんは俺の発言にかなり驚いていた。
「その剣は魔神の出現と同時期に当時の国王の元に出現したものでな、当時の国王が剣を鞘から抜こうとしたのだが抜けなくて、家臣に渡そうとしたら火花が散りまるで王族以外を拒絶するようなことが起こったらしいのだ。それでこの剣は対魔神の切り札になるのではないかと思われ、それから即位した王族は必ず鞘から抜こうと試したそうなんだが無理だったそうだ。
もしかしたら君がこの剣の持ち主なのかも知れないな。
ちょっと待っててくれ、この箱は国王の魔力以外では開かないようになっているのでな、陛下を連れてくる。」
そう言うが早いか足早に出ていってしまった。
アスレイさんが国王陛下を連れてくるまですることが無いので、周りの聖剣やら魔剣を見ることにした。
うん。見なかったことにしよう。
何故なら視界に入った剣の殆どが俺に呼応するかの様に光っていたからだ。
時間がかかると思っていたが驚く様な早さでアスレイさんと国王陛下が帰ってきた。
見たところ国王陛下は戦闘の準備万端のようだ。
「その剣がコウを持ち主に選んだとは本当か?」
いつの間にか名前を呼び捨てだ。
「待ってください、まだそうと決まった訳じゃ。」
「まぁ試してみれば良いのだよ。」
国王陛下は直ぐに箱に魔力を流した。
蓋が自動で開くと中には黒を基調とし、銀色の線が柄から鞘の先へと流れた色で、見た目はシンプルな両刃の長剣と同じだった。
だが、他の剣とは違い高貴で力強い感じがした。
それを国王陛下は慎重に丁寧に取りだし俺に渡してきた。受け取ろうとするとアスレイさんが唾を呑み込む音が聞こえた。
俺が剣に触れた。
でも何も起こらない。そのまま国王陛下は完全に俺に剣を渡し1歩離れた。抜けということらしい。
俺は勢い良く剣を抜いた。
何の抵抗も無く抜けると刀身は鞘と同じ黒を基調として流れるように銀色が入っていた。
「まさか、私の代でこの剣の刀身が見れるとはな。」
「凄い剣に選ばれてくれるな、君は。」
「どんな剣であろうとコウの剣が決まったんだ。直ぐにでも手合わせをしよう。
「待ってください。この剣が俺ので良いんですか?」
「お前以外に誰がその剣を抜けるのだ?それに私が決めたから誰にも文句は言われん。」
「…分かりました。ありがとうございます。」
「さぁ行こう、直ぐ行こう。」
やっぱり手合わせするんだ。
でもこの剣のお陰で不安は無い。
宜しくな。そう剣に語りかけると任せろと言うかの様に光った気がした。
自分は学生ですので、定期試験前などになると投稿が遅れたり、無かったりすると思います。
読んで頂きありがとうございます。