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エッセイ『演劇部時代に負けた話』
『大学の演劇部時代に負けた話』
大学一年生の時の話です。
演劇部に所属していました。
新入生歓迎公演で新入生だけでやる舞台があったのですが、その主人公(男女一人ずつ)があったのでもう「絶対に主人公になりたい!」という意気込みで部内オーディションに挑みましたが、端役も端役。凄く地味な役にされました。
主人公を勝ち取った男子は寡黙で、部室にも殆ど来ない。来てもずっとスマートフォンをいじっている。
練習(稽古)も皆で話し合ったり実際に練習してみてそれを先輩達に発表して可か不可かを判定してもらうのですが、その男子はただただ一人で部屋の一室、時には廊下の離れた所で黙々と一人練習していました。
「何であんな奴に……!」と正直怒りを覚えていました。
そしていざ通し稽古をした時にもう思いました。
「あ、これ俺負けたわ……」と。
完成度があまりにも高く、憑依型だったんですよね。
なのでもうそのキャラクターが固まっており、付け入る隙が無い。
正に完璧でした。
そんな彼とは今でも交流する程、仲が良くなりました。
たまに「俺、昔、お前の事大っ嫌いだったんだよね」という話をしては「何で!?」と毎回驚かれて笑い合う時を過ごしています。




