表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今際 〜夏祭り。気づいたら異世界へ。〜

作者: ryugo
掲載日:2026/03/22

涙が抑えられない。

「実は人間じゃないんだ。この世界の住人で...」



ピンポーン あいつら、来たな。

がちゃり 

「やっほー。」ドアを開けると、睡蓮(すいれん)が笑顔で立ってる。

「待たせてごめん。もうみんな揃ったんだ。」

「じゃあ行きますか。みんな、中学生最後の夏祭りを満喫しろよー!」蓮二(れんじ)がわかりきってることを言う。

「うぉー!」啓太がいう。このやりとり毎年だ。


これは私(凛)が体験した夏の不思議な出来事である。



私たち四人は学校でも休みの日でもいつでも一緒だ。グループ組めと言われたらこの四人だし、毎年みんなで神社の夏祭りに行く。


あるとき、クラスのいろんな人とおしゃべりする睡蓮から二人きりの時、こんなことを言われた。


「凛ってさ。結構、男子の中ではモテるんだよ。」

「え〜そうなの? でも睡ちゃんもじゃない?」これは本心から思ってた。

「うふふ。そう思う?」

「そうだよー」


私は睡蓮の言った「モテてる」ことに何も感

じなかった。だって私に彼氏がいるのだから。


睡蓮は違うけどもう彼氏同然の人、啓太がいる。つまり、2カップルの集まりだ。


「夜だと言うのに暑いなー。」

「そう?」

「そうだよー。」


睡蓮と啓太が前の方でくっつきあってごちゃごちゃ言ってる。

神社まで少し歩く。


「凛はどうなの?」不意に蓮二が聞いてきた

「なんのこと?」

「これからのことだよ。高校とか。一緒のとこ行きたいじゃん。」

「えー。蓮二は頭がいいからなぁ。でも田舎だから高校は一つぐらいしかなくない?」

「それもそっか。」


あっ この空き地は。 

小6の時蓮二に告白された場所だ。

もう3年も経ったのか。

変わらず、真ん中には桜の木が一本ある。


「むふふ。」

「なに? どしたの?」

「なんでもなーい」


しばらく歩いて神社に着いた。啓太と睡蓮が先に走って入ってった。


鳥居をくぐったその時、 きーん

耳鳴りと共に頭痛がした。

うっ 頭を抑え、しゃがみ込んでしまった。

「おい。大丈夫か。」蓮二が心配してくれる

「うん、大丈夫だと思う。たまになんだよね。」

しばらく椅子で休んでな、と言われて少し休むことにした。


数分後、痛みがおさまってきた。

屋台の方に行ってみようかな。


ん? 小学3年生くらいの男の子が歩いて来る。 

どうしたの? と声をかけようとし、顔を見る。


男の子の目は底の見えない闇で白目がなかった。 真っ暗だ。 そこ知れぬ恐怖を感じた

「うわっ」


驚いて後ろに走ろうとした時、つまずいて転んでしまった。

「いてて。」

「どうしたんだ!大丈夫か?」蓮二が来てくれた。後ろに睡蓮と啓太もいる。みんな驚いてる表情だ。


「そ、そこにいる子の目、 目が黒くて」

「何言ってんだ。子供なんてどこにもいないぞ。」啓太が言ってくる。

え? 周りを見る 確かにいない。

「凛、疲れてるんじゃない?」睡蓮が心配してくれる。

「うん。そうかも。」


その後は蓮二と買ってきてくれた焼きそばを食べた。

睡蓮たちはりんご飴を舐めてる。


「気分どう?」

「落ち着いてきたよ。みんな心配かけてごめんね。屋台行こっ。」

「よっしゃ。今年も遊びまくるかぁ。」

啓太は相変わらずテンションマックスだ。



「今年も楽しかったね。」

「もう終わっちまったのかぁ。」

屋台が次々と片付け始めてる。

遠いところで子供達がワイワイやってる。

そして私たちはベンチでゆっくり喋る。

毎年同じだ。


「いつから学校だっけぇ?」

「明後日からだよ。短かったな。啓太は宿題終わってる?」

「いや、全然だよ。蓮二はいいよなぁ。頭が良くて。」

「いや、頑張ればいいだけだって。」

「はー。簡単にいうなよー」

啓太が絡み始めた

「ちょっ。お前やめろって。」


男子たちは盛り上がってる。


「ねぇ。凛は将来の夢とかあるの?」

「えー、特に決まってないなぁ。睡ちゃんは?」

「私も全然決まってない。でも大人になったら都会に行きたいんだよねぇ。」

「えー!めっちゃいいじゃん!私も連れてって!」

「俺も!俺も連れてってー」

「僕も一緒に行きたい。」

「ははは。じゃあみんなで行こっか。」


時間を忘れてしまうほどとても楽しい時間だった。その瞬間までは。


「あれ?なんか空の色、変じゃない」

啓太がそう言った。みんなが見上げる。

「確かにぃ」


なんと、空が夕暮れの明るさだったのだ。

ついさっきまで、夜だったのに。

「え?おかしいでしょ。なんで?」

「おい、屋台が跡形もなくなくなってるぞ。というか、僕ら以外に人いなくないか。」


しーん、としてる。異様なぐらい。なんだ?

焼きそばのソースの匂いが泥臭い臭いに

騒がしい虫の音と子供のはしゃぎ声が静寂に


私たちは神社を歩き回ったが、人が一人もいなかった。いた痕跡もない。

おかしいでしょ。よくわかんない胸騒ぎがする。


この時、私はまだ気づいていなかった。


「とりあえず家に行こう。」

啓太の意見にみんな賛成し、家に帰ることにした。


「ちくしょう、まだ時間はあったはず。」

蓮二が焦って何か独り言を言ってた。

特に気にしなかった。


田んぼを駆け巡る。

みんな家に行ったって変わらないことはわかってるはず。


だって、あの神社には。

私たちの田舎町には。

神隠しの伝説があるのだ。


零二もまた「あっちの世界」の住人だった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ