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001 レナ爆誕

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封神歴1000年10月24日


このキリの良い数字の日に、私はレナ・アルヴァンデールとして産声を上げた。


同時に、助産師が大きな声を出した。

「元気な女の子ですよ!」

当然です!

「なんと!魔力の総量がとてつもなく高い!」

それもそのはず、私ですもの!

「とても優秀な子に育つに違いない!」

褒めすぎです、照れます…///


そんな風に次々と聞こえてくる言葉に、私は調子に乗りつつも照れていた。私は生まれた時から周りの言葉を理解することができた。それを不思議に思うようになるのは、数年先の話である。ともあれ、この日は私が大国ヴェルドニアの3大貴族の一角、アルヴァンデール家の一人娘として生を受けた、とても目立つと同時に残酷な日なのであった。


---


1ヶ月後


「レナちゃん、今日も可愛いでちゅねぇ〜」


そう言いながら、長い髭と髪を結んだダンディなイケおじ、私の父親アルヴィン・アルヴァンデールがほっぺを擦り付けてくる。私は精一杯抵抗するが、今日も虚しくスリスリされてしまう。この父親、意外にも厳格で有名らしく、人目を避けて私を愛でているらしい。しかし、それを隠しているのは父だけで、母や屋敷の侍女たちには「娘にデレデレな父親」であることが筒抜けだ。そんなことを誰に伝えるでもなく考えていると、ノックの音が聞こえた。


「主様、食事ができました」


メイドのアルメが声をかける。父は慌てて取り繕い、低音のイケボで


「分かった。今向かおう」


と返答した。私は面白くて声にならない声で「キャッキャ」と笑う。しかし、言葉は理解できても、まだ言葉を発することができないのだ、とてももどかしい。


食事の時、父は何やら険しい顔をしていることが多い。食事の時間中も仕事をしているようだ。(私に会う時間を仕事に回せばいいのに)と私は思うが、口には出せないし、せっかく構ってくれているのだから、子供らしく甘えてしまおう。まあ、恐らく私に会いに来る時間を減らしたところで、大して変わらないだろう。


何を隠そう、父は3大貴族のアルヴァンデール家の当主だ。アルヴァンデール家は3大貴族の中でも政治の面で強いらしい。故に仕事が莫大な量になってしまうのである。まあ、私は女の子だから関係ないけど! でもいつかきっと政略結婚とかさせられるんだろうなー。そんなことを考えながら、母親の乳を吸う。母も父と同じく、私のことが大好きなのだろう。毎晩一緒に寝てくれるのは母だからだ。母は寝る前に必ず、予言の勇者の話を聞かせてくれる。内容はとても怖いけれど、聞いていると胸が躍る。私も将来、冒険に出てみたい。そんなことを考えていると、夜ご飯が終わり、侍女に抱えられて部屋に戻ると、珍しく父が来た。


「私もレナちゃんと寝たいな〜」


と厳格な人らしからぬ発言をするのは、ここだけの秘密である。


---


4年後


そんなこんなで4年が過ぎた。

私は今、人生初のお友達ができそうだ。このビッグイベントに父と母が介入していないわけもなく、そのお友達というのは、父の旧友ガブリエル・アシュフォードの息子、ジーク・アシュフォードである。


なぜこんなことになったかと言うと、ガブリエルがジークの面倒を見られなくなったため、旧友の力を借りてジークを私の家で預かることになったからだ。預かると言っても、使用人のような扱いだそうだ。私はなぜ私の家に預けるのか不思議に思い、侍女に話を聞くと、ガブリエルは妻であるセレナをジークの出産時に亡くしてから、酒浸りの生活になってしまったらしい。それはとても悲しい話だが、それとこれとは別だと思った。しかし、父とガブリエルさんはただの友達というだけではないような気がするので、まぁ色々あるのだろうと、私は引くことにした。


4歳になると、私の教育は母の手によって本格的になり、4歳児とは思えないスケジュールをこなすことになった。


---


レナの1日


- 6:00 - 起床

自分で身支度を整え、朝のルーチンを行う。


- 6:30 - 朝食

家族との朝食を楽しむ。


- 7:00 - 剣術の訓練

ジークと共に剣術の基本を学ぶ。

指導者: 天神流の実力者。


- 8:00 - 魔術の訓練

魔術の基礎を学び、簡単な魔法の使い方を練習する。

指導者: 魔術の家庭教師。


- 9:00 - 政治と貴族のマナー

貴族としての礼儀作法や社交術を学ぶ。

指導者: 政治学の専門家や家族のマナー教育担当者。


- 10:00 - 算術

基本的な算術を学ぶ。

指導者: 算術の家庭教師。


- 11:00 - 外国語

外国語(古代語や隣国の言語)を学ぶ。

指導者: 外国語の専門教師。


- 12:00 - 昼食

家族との昼食を楽しむ。


- 13:00 - 剣術の再訓練

午前中に学んだ剣術の復習と応用練習を行う。


- 14:00 - 魔術の実践

魔術の応用練習を行う。


- 15:00 - 休憩

リラックスタイム。


- 16:00 - 貴族としての教養

貴族としての歴史や文化を学ぶ。


- 17:00 - 算術の応用

算術の応用問題や簡単な計算問題に取り組む。


- 18:00 - 夕食

家族との夕食を楽しむ。


- 19:00 - 外国語の会話練習

外国語を使った簡単な会話練習を行う。


- 20:00 - 自由時間

リラックスタイム。


- 21:00 - 就寝準備

夜の支度を整え、就寝の準備をする。


- 21:30 - 就寝


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さすが3大貴族の教育、といったところだろう。ここらで教師陣の紹介をしたいと思う!


驚いたことに、剣術の授業ではジークの兄エリオットが、兄弟子として指導してくれることになった。エリオットとともに手ほどきをしてくれる師匠は、天神流の上位中段の実力者であるカイロス・ベルモンドだ。かなりの実力者らしいがあまり分からない。


魔術の師匠であるイリス・アルマさんは遠方の国からわざわざ来てくれたらしい。彼女は多くの著名な魔術教本を執筆している。私も読んでみたがイリス先生に

「まだ早いわよ」

と諭されてしまった。悔しいがその通りである。でも私には魔術の才能はあるらしい。

なんと常人の何倍?か忘れてしまったけれど魔力量が多くて、何倍?かの効率で魔術を扱うことができると教えてもらった。難しい話だし魔術は好きだけれどそういうのはめんどくさいので適当に聞き流してしまった。


しかし、さすがの私もこんな過密スケジュールでは疲れ果て、とうとうある日、とあることを思いつき声に出した。


「くくく、私いいこと思いついちゃった!ジーク!手伝って!」


ジークはとても顔をキラキラさせてこちらを見た、そう、私たちは逃亡を図ったのだ。


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