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第1章 影の色は何色かー1
僕は初めての高校生活をのんびりと過ごしていた。
「桜が緑色になってきてる。」と僕が言うと
「もう5月だもんな。そりゃそうなる。」と坂田くんが返す。
坂田くんは小学生からの友達で、中学校も一緒で、高校も一緒。しかも偶然同じクラスになったのである。言ってしまえば幼なじみ、もしかしたら人生で1番付き合いの長い友人になるかもしれない。いや、そこまで来たら腐れ縁というやつかもしれない。僕は苦笑いをする。
「ん?どうした?」
「え?なんでもないよ。強いて言うなら、またかよって思っただけ」
「なんでもあるじゃねーか。気持ちは俺も分かるけどさぁ。」
そう言ってケラケラと僕らは笑った。
ザワザワ…
廊下が少しザワついているのを感じた。
「どうしたんだろな?俺が見てきてやろう!」
と、自信満々に言っていた坂田だったが教室のドアを開ける時に中腰になってソッと開く様子には思わず笑ってしまった。