前編
1
いつもの喫茶店で「読書をしながら、コーヒーを飲む」といういつもの偽装。
あの人はいつも通り、親友と二人で入店する。
制服をかっこよく着飾るあの人に対して、その親友は言うなれば綺麗に着こなす。
ただ本来は校則違反の制服だが日々着てくるせいで、最近では先生も黙認らしい。
喫茶店のマスターといつもの掛け合いをして、親友と談笑して、飲み終わると帰っていく。
私はそんなあの人の姿を遠巻きに見ているだけ。
多分、私の事すら知らないだろう。
もう少し私に勇気があればとは思うけど、それは高望みが過ぎる。
二杯目のコーヒーが底をついて、読んでいた本もきりが良いので席を立ちお会計をする。
喫茶店からの帰路の途中。
「お、超カワイイじゃん。君。」
ウザイのに話しかけられた。喫茶店からの帰りで上機嫌だったのが急降下する。
「ねえ、君、彼氏とか居るの?ねえ、ちょっと付き合ってよ。」
「・・・で下さい。」
こういう時に自分の沸点の低さを自覚する。声に苛立ちが篭る。
「え?なんていったの?」
「・・・で下さいと言ったのです。」
このままでは不味いなと思い、とりあえず会釈をしてその場を去ろうと思い踵を返す。こんな奴の為に帰路が遠回りになるのは甚だ遺憾だが仕方ないと諦める。
しかし、その態度が奴の怒りに直結したらしい。
「おい、ちょっと待てよ。」
奴の手が肩に掛かる。アウト。
刹那に肩に掛かった腕を両手で掴む、それを軸にして自分の方に引き寄せ、自分も懐に入るように近づく。背中越しに奴の感覚が当った瞬間に背負い上げ、前に叩き落とす。柔道の一本背負い。但しここは畳張りの道場でもなければ相手も受身が取れるかどうか不明。予想通り、腰をはじめ背中やら足やらをアスファルトに打ち付けて、低いうめき声を吐く。
「だから、話しかけないで下さいって言ったんです。此れに懲りたら二度と話しかけないで下さい。」
苦痛に歪む顔に向けて、出来る限り感情を込めずに、此方の意思を伝える。まあ聴こえているかどうかは怪しいが良しとする。
溜息を付いて体に付いたほこりを払う。埃と共にこいつの存在を頭から消去。そして再度帰路に着く事にした。
自室にたどり着いて鞄を所定の位置に置き、制服を脱いでやっと一息つく。どうも制服を着ている間は気を抜くという事が出来ない。登下校中は当然だが、授業中や休み時間でもなぜか神経を研ぎ澄ませていないと気がすまない。
学校の制服というのが嫌いだ。「私は女性です。」と遠目にも判るように表明しているような気がしてならない。それだから変な奴も近づいてくる。
思い出したくもないあの事件。表面的に起こった事はただの付きまといだが、私の心に与えた影響は計り知れなかった。
それの原因の一端を制服に求めてしまうのは考えすぎだろうか。
その事件は私に護身術の習得と男性嫌悪を与えた。物事の考え方を曲げるには十分すぎる影響だった。
三編みに編み上げたお下げも解いておろす。
三編みでもある程度の長さになるのだから、解けばより一層の長さになる。
「ふう。」
制服を脱いで三編みを解くと心底ほっとする。
物心付いた頃からアニメなどで見かける長い髪に憧れて、ずっと伸ばし続けてきた。
三編みは一番短く見えるから。普通のポニーテールで纏めたいけどそれだと長すぎて邪魔になる。
「うーん。そろそろ切り時・・・かなぁ?でも、何かなぁ。」
なかなか踏ん切りがつかない。
「とりあえず保留。」
長い髪の毛を紐のように扱い、後ろで団子に纏める。見た目が悪いので外に出るときにはしないがこの状態が一番楽だ。
家族団欒をしていたらあっという間に就寝時間。
布団に潜り込んで、今日有った事を思い出そうとする。ふと投げ飛ばした奴を思い出しそうになって慌てて記憶から消して、その前の喫茶店の店内を思い出す。
いつもの喫茶店のあの人。
「明日頑張って話しかけてみようかな・・・。」
出来もしない無謀な望みを胸に瞼を閉じる。
2
息を大きく吸い込み、細く長く吐き出す。特にポーズはとらないがそれが私の気持ちを静めるやり方。
「・・・うー。無理かも。」
いつもならそれだけで心が集中するのに、その日は全然気持ちが収まらず、集中できない。
何度と無く、深呼吸をしてみるもあの人の顔が頭から離れない。
諦めて枕に頭を埋める。火照る頬の熱が篭り枕が熱い。
「うー・・・眠れない・・・。」
時間は既に午前の2時を回っている。床に着いたのが11時だから既に3時間もこんな事をしている事になる。
しかし、胸の高鳴りはなかなか収まらず、後1時間は寝れそうに無い。
明日は遅刻しよう。そう心に決める。
放課後いつもの様に親友と帰る。
「ふへー。やっと終わったー。」
「遅刻者が何を言う。半分しか授業を受けてないだろう。」
親友の突っ込み。否定はしない。
「だいたい授業長すぎ。一日3時間で良いよ。」
「それじゃいちいち学校まで来るのが面倒だよ。」
「いや、学校に来る意味はあるよ。」
「どんな?」
「お前と馬鹿するため。」
「はは、違いない。」
校門を出て、ある程度歩くと大通りに出る。其処にはいつも屯っている喫茶店が有る。
「また拠って行く?」
「いいね。」
喫茶店だけあって、コーヒーが当然お勧めの筈だが猫舌の自分には只の熱く苦いだけ。だから頼むのはいつも決まっている。
入り口の扉に付けられたベルの音が響く。その音に反応してカウンター越しのマスターが此方に視線を向ける。その視線に笑顔で答える。
「マスター、いつもの。」
「・・・」
一瞬で客を客だと思わない冷たい視線に変わる。しょうがないじゃないか、猫舌は直しようが無いんだから。
マスター曰く「邪道」のアイスコーヒーと大量のガムシロップがテーブルに置かれる。
最近では嫌味も言わなくなった。しかし出て行けといわれない当たりちゃんと客として見てもらえているようだ。
「サンキュ。マスター。」
感謝の言葉を掛けるもマスターの表情は変わらない。流石に気圧される。
「わ、わかったよ。その内「ホット」コーヒーも頼むようにするよ。もちろんブラックで。」
その一言を聞いて、マスターはカウンターの向こうに戻っていた。
ごめん、マスター。多分ずっと先だけど。
心の中でマスターに謝罪して早速アイスコーヒーにガムシロップを入れ始める。
平均5個。その日の気分で±2個。
「1つ・・・2つ・・・3つ・・・4つ・・・かな。」
今日の気分はややビターにガムシロップ4つ。
「なあ、いつも其れを見せ付けられるこっちの身にもなってくれ。それだけで胸焼けがして来る。」
「ん?普通じゃない?」
「普通じゃない。」
「全く、マスターと言いお前と言い、世の中は敵だらけだ。」
愚痴ってみる。事態は解決されないがすこし憂さが晴れれば良い程度。
そこに丁度マスターが戻ってくる。
その手にはデミタスのコーヒーカップに満たされた憎きあの液体。
「お待ちどう様です。「ホット」コーヒーです。」
「ありがとうございます。・・・やっぱりいつ来ても良い香りですね。」
「・・・どうぞ、ごゆっくり。」
満面の笑みでカウンターに戻るマスター。
「くそう、此れが一般客と上客の差かよ。」
「悔しかったら、頼めば良いんじゃない?」
「それが出来たら苦労はしない。」
この店の上客になるのは多分一生無理そうだ。
そんな感じで暫く親友と談笑する。その間も来客は続く。
立地条件と言い、価格帯と言い、我々学生の心を鷲づかみにするこの喫茶店のファンは、決して少なくない。放課後のこの時間は学生たちでこの喫茶店は大賑わいになる。ほとんどがリピーターで、学生もマスターも顔見知りで、注文をしなくてもいつもの物がテーブルに届く。此れだけの顧客データが頭に入っているのだからマスターの接客に関するスキルも驚嘆の域である。
流石に騒がしく成って来た店内を何気なしに見回す。そこで彼女を見つけた。
いつもの様に三つ編みを左右で二本垂らし、眼鏡を掛けてコーヒーを片手に書店のカバーの付いたままの文庫を読んでいる。
名前を知らないので勝手に図書委員と呼んでいる。
と、言っても誰かにそう喋っている訳でなく、心の中でそう呼んでいるだけだが。
図書委員は常に一人で来店する。私達の様に誰かを連れだってという事は無く、常に一人。そしてコーヒーをブラックのまま読書の合間に飲んでおかわりを一杯頼んで其れを飲み干すと読んでいた本を閉じ帰っていく。毎日その繰り返し。その一定の行動に全くブレが無い。よくもまああれだけ読書し続けられると感心する。
その日はどうやら図書委員を見過ぎていたらしい。
「あの子は止めといた方が良い。大分面倒くさいぞ。」
親友が鋭い目で此方を制してくる。
「え、知っているのか?彼女の事。」
「まあ、情報網の差・・・なんてね。只の知り合いから聞いた事が在るだけ。」
「名前教えろ。」
「人の話を聞け。」
「趣味は?恋人は?交友関係は?」
「あーもう、うざい。解ったよ、知っている限りの情報は教えてやる。
所属は2-A 出席番号2番。相沢茜。趣味は見ての通り読書、部活動は入っておらず帰宅部。良かったな共通点が有って。クラスにもそれほど親しい人間は居らず、ほぼ一人、てか確実に一人ぼっちだ。そんな状況だから当然彼氏もいない。まあ其れぐらいかな。」
「なんだそのまるで狙ったかのような、高スペック。そんなの男どもが見逃すはず無いだろう?」
我々の通う学校はAからEクラスまであるがAとBからD、そしてEの3つに分ける事が出来る。まあ、そのままだがAが学年の優等生クラス、堕ち零れがEクラス、他がBからDに適当に振り分けられる仕組みだ。そして優等生クラスのAクラスには更に成績順に出席番号が付けられるというおまけ付き。そんなAクラスの出席番号2番。学力だけで言えば月とすっぽんだろう。通常クラスの私達にとっては高嶺の花に違いない。
「85戦85KO。今までに85人を振ったという偉業は未だに伝説だ。だから彼氏居ない歴=年齢って訳。」
「よし、その伝説今日この場に於いて瓦解してくれる。」
握りこぶしを作り、振り上げる。
その行動を親友は冷たい目で見送る。
「86人目になるのは目に見えてるだろ?それにお前じゃまず不可能だと思う。」
「そ、そんなの解らないじゃないか。」
席を立ち上がり、相沢さんの元へ。やばい緊張してきた。心臓がバクバクしている。顔が真っ赤になっているのが自分でも解る。とりあえず深呼吸。
彼女の席の前まで付いた。立ち位置で影が相沢さんの読んでいた本に落ちる。それで相沢さんが顔を上げる。訝しがる視線が痛い。
「何か?」
澄んだ声が響く。まるで此の世の物とは思えぬ美しい声が耳から入ってきて、脳内を蕩けさす・・・って、酔っている場合ではない。
「あ、あの、」
「?」
「つ、付き合ってください。」
遠くの方から親友の小言が聞こえたような気がした。「もっと言い回しは無いのかよ。」
「・・・」
目の前から反応が無い。不思議に思い頭を上げると・・・
バチンッ。
彼女の顔を見るすんでで、頬から顎にかけて痺れにも似た痛み。つまりはビンタを食らった訳だ。
覚えている事は其処まで。色々な意味で衝撃を受けた脳は考える事を止め完全フリーズに陥った。
3
自宅までを駆け足で帰ってきたので息が上がっている。
別に走る必要はなくても逃げ出したくなったのだからしょうがない。
自室の机に鞄を放り投げる。閉まっていなかった鞄からそれの芳香が漂う。
捻じ込む様に中に入れられくしゃくしゃに皺の付いたハンカチ。かすかにまだ湿っている。
「あの人・・・許してくれるかな?・・・無理だよね。・・・だって、いきなり・・・ああ、ちゃんと謝りたいな。おしゃべりしたいな・・・無理、かなぁ・・・無理、だよね。」
体が重たくなってくる。そのまま机に崩れてうな垂れる。
相手の頬を的確に捉えた平手打ちはいとも簡単に相手の意識を奪った。
「あ。」
条件反射の行動と理性ではウサギと亀の差が出てくる。
こちらが小説の世界に没入していた所、いきなり声をかけられて状況を把握する前に告白してきた相手に対して、驚きと戸惑いを感じ理性が停止している間に体は何時もの様に拒絶の反応を見せた。
これまでも付きまとってくる男供に対して冷徹な対応をしてきた。というより男に体を触られる事に嫌悪感を覚える。男性嫌悪。話をする分には何とか大丈夫なのだが触られるとその限界を超える。今回も愛の告白をしてくる対象をそれ以上の接近を許してはならないと体の条件反射が働いた。動揺していたこともある事はある。その結果、確実に相手の意識を奪う平手打ち。
別の意味での戸惑いと自己嫌悪が心を包む。
「あ、あの大丈夫ですか?」
気を失い床に倒れた相手を気遣い声を掛けるも返答は帰ってこない。倒れる音で周りの視線が統べてこちらに向けられている。
「あ、あの。」
抱き起こそうと思い席を立つ。その時カツンと小さな音がする。飲みかけのコーヒーカップ。その端にひじが当たったらしい。力を加えられたカップはその勢いでソーサーから外れ、倒れる。テーブルの上・・・でなく、その縁の先へ。もともとのおいてある場所が悪かった。テーブルの真ん中に置いてあればそんな事には成らなかっただろうが、テーブルの端のほうに置いて有った事実がある以上そうもいかない。テーブルの外へ飛び出したカップはそのまま重力に従い下に落ちる。
ごすっ、ビチャ。
おそるおそるテーブルの縁の下の惨劇に目を向けると、相手の頭の上で上下逆さまのコーヒーカップが絶妙のバランスで止まっている。その下の頭はコーヒーで濡れている。
「あ!!す、すみません。」
とっさにハンカチを取り出そうとバッグを漁る。バックの奥底の方から目的のハンカチを見つけ取り出す。その動きと一緒に違うものまで引っ張りでる。先ほどまで読んでいた文庫。それがバックの口からこぼれ、下に落ちる。
ばさっ。
何かの引力でも働いているのだろうか?文庫もさっきのカップと同じ軌道を落ちて同じ所に落下する。
私たちを遠巻きに見ていたギャラリーが完全に引いているのを感じる。
「す、すみません!!」
文庫とカップをどかしハンカチでこの人に掛かったコーヒーを拭いていく。
この辺りで、この人の連れらしき人がしょうがないと言った感じで寄って来る。
「あ・・・」
なんと言ったら良いのか考え込んでいると。その人が頭を掻きながら代弁する。
「いや、本当にうちの相方が失礼した。こいつは此方で預かりますよ。」
未だ失神している相方の脇に手を入れ引きずって自分たちの机に戻っていく。
脳内でゴングが乱打される。
レフェリーストップによる、テクニカルノックアウト。
周りの視線に耐え切れず、飲食代をマスターの前に半ば叩き付けるようにして置いて逃げ去る。
マスターの「ありがとうございました。」の声を背中で聞きながら頭の中はパンク寸前。顔は真っ赤になっている自覚が在った。
そのまま帰巣本能の赴くまま今に至る。
・・・最悪だ。当分はあの喫茶店も出入りを自粛しよう。
もう少しゆっくりお話したかったのに。
過ぎてしまったことは取り返せない。覆水盆に返らず。
気が付いて時計を見れば既に1時間は不毛な後悔とため息を続けている。
ボーっとしているとその事ばかりが頭をよぎるので、他に意識を向けようと勉強道具を引っ張り出し机に広げる。
頭を振って勉強に集中しようとしてもなかなか集中できない。
目の前のノートの文字は読めても意味が頭の中に入っていかない。
頭の中であの人の顔だけが思い浮かんで、そのことばかりを考えてしまう。
朦朧としつつある頭が一つの案を提示する。そんな状態で出した案なんてろくでも無い筈なのにそれが正しいと思い込んでしまうのだから不思議だ。
「あの人の様子を見に行こう。」
部屋着の上に軽く羽織り、団子にした髪の毛を隠すように帽子を軽く被る。
姿見に映るその様はまるで男の子みたいだ。
自室をでてリビングを通り抜け玄関に向かう。
「こんな時間に何処に行くの?もう直ぐ晩御飯よ。」
母親の問い掛けを軽くいなす。
「ちょっと其処のコンビニまで、コピーしなきゃいけないから。」
口からのでまかせだが、母親は全く気が付かない。
「そう、行ってらっしゃい。気をつけるのよ。」
「行ってきます。」
何を気をつけるのか甚だ疑問だが、玄関を通り抜けて外に出た。
大通りの方に歩き始めて、直ぐに一つの疑問にぶち当たる。
問題です、あの人は今何処に居るのでしょう?
・・・気が付いた瞬間、その場に崩れ落ちそうなぐらい凹んだ。当然だ、あの事が起こってからもう何時間も経っている。当然もうあの喫茶店に居る訳が無い。もうとっくに家に帰っているだろう。
そのまま引き返すのも気が引けて、当初は行く予定が全く無かったコンビニへ向かう事にした。
着いたコンビニはこの付近では唯一のコンビニ。余り発展の兆しの無いこの町にはコンビニは一店舗あれば十分らしい。
店内に入ると自分と同じ位の女子学生の二人組みが居た。彼女らはペットボトルのコールドケースの前で選んでいるのだろうかふざけ合っている。
「・・・。」
ただ純粋にいいなぁと思った。あんなに無邪気に笑い合える友達と呼べる人が私には居るだろうか?居るのは知人ばっかり。友人は一人も居らず親友なんて言わずもがなだ。
少し寂しくなった。思い返せば此処に来る理由すら未遂に終わっている事を思い出してしまった。
気分がどん底に落ちそうなので、そこいらで少女コミックでも立ち読みして元気を得ようと適当に雑誌を立ち読みする。
少女コミックの中では相も変わらず、「素敵な彼女」と「素敵な彼氏」が恋愛をしている。
「素敵な彼氏」なんて本の中だけの存在だ。現実には居ない。それでも恋愛に葛藤する姿には胸を躍らされ元気にさせられる。
暫く読んでいると先の二人組みがやっと買う物を決めて会計を済ませ外に出て行くところだった。彼女達はお喋りに夢中で手探りでコンビニの扉を開けている。その向こう側の人間には気がついていない。
どんっ、と人と人がぶつかる音。
「あ、すみません。」
彼女達は咄嗟に謝った。自分たちが悪いのだから謝るのは当然、其処までは良かったのだがぶつかった相手が悪かった。
「っ痛えな、くそアマ!!」
悪ぶる事が格好いいと思い込んだ頭の螺子が2・3本緩んでいる阿呆。
予想が付きすぎる今後の展開に少しの頭痛を覚えた。
やはり男は嫌いだ。