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なろうラジオ大賞4参加作品

ポールダンサーの星座

掲載日:2022/12/22

その国には、聖女と同じく、民衆の心を掴む存在があった。

 熱い!


 焼かれるような熱さで目覚めたら、足元に火が点けられていた。


 此処はどこ?

 夜空が見えるわ。


 でも、なんで私は薪の上で、木の棒に縛られているのかしら。

 スケスケ生地のドレスは、見覚えがないし。

 いつものパンプスも履いてない。


 私は踊る予定だった。

 クリスマスのイベントとして、確かクルーズ船の中で。


 そうだ。

 クルーズ船で火柱が上がり、煙に巻かれ……。


 死んだのかしら? 私。



「……聖女毒殺未遂の罪により、悪女サラを火刑に処す!」


 少し離れたところから、王子様みたいな恰好した男性が何か言ってる。


 悪女……サラ? 

 確かに私は沙羅。

 でも、聖女って……。

 毒殺?……。


 まさか、ここって……。

 異世界!?



 足元の火はどんどん大きくなる。

 煙が目に沁みるので、私は上を向く。


 きらりと、星が光る。

 あれは……北極星かな。

 私に星を教えてくれた男性(ひと)がいたっけ。


『ポール・スタア?』

『そう、北極星。それを中心にして廻るのが北斗七星』


 極点を廻る星座ね。

 それはポールダンサーと同じ。


『なら私、北斗七星みたいに、極点を回り続けるわ』


 あなたの周りをと言いたかった。

 もう、逢えないね……。


 その時。

 ブツリと音がして、手の縄が切れた。


「逃げろ! サラ。君は無実だ」


 側にいた騎士が言う。

 懐かしい声だった。


「いいえ。私は逃げない」


 私はダンサー。

 だから。


 すくっと立った私に、石が飛んでくる。

 集まった民衆からわき上がる、罵倒と罵声。


「私、踊るわ!」


 高い木の棒は、夜空に直立している。

 私は棒を掴み、横向きになったままくるくる回る。


 どよめく観衆。


 ここからよ。ポールダンサーの見せ場は。


 思いきり開脚する。


 観衆も、王族たちも息を呑む。

 着ていたドレスの裾は焼け、ミニ丈になっているからね。


 そのまま両足を棒にからませ、両手を離す。


 星よりも輝く笑顔を見せるの。

 私は手放しで回りながら、声を上げる。


「私はダンサー! ただの踊り子!」


 罵声はいつしか口笛に変わり、石の代わりに小銭が飛ぶ。

 刑を言い放った王子も、口を半開きに私を見つめる。


 棒の天辺に登り、私は北極星に祈る。

 ここが何処かは知らないけれど、私の踊りを見ていてね。


 船上で最後まで踊れなかった未練が、戦場(異世界)へ連れてきたのかも。


 片足だけ棒に絡ませ、観衆にも王子にも投げキッス。

 するする棒から降りた私を、騎士は抱きしめる。


「今度こそ、離さない!」


 騎士さん、あなたは!!

 兜をはずした騎士は、まさかの男性(あのひと)


 抱き合った二人(わたしたち)は、星の祝福に包まれた。

炎から生まれる女神。豊穣の女神でもある。

刑場でポールダンスを披露した沙羅は、豊穣の女神として、多くの人々の支持を得た、らしい。


お読みくださいまして、ありがとうございました!!

☆が★に変わるのも、ステキですね!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現世ではクルーズ船の火事で命を落とし、転生後は火刑に処されかけてしまう。 沙羅さんを待ち受ける運命は、ハードで過酷ですね。 だからこそ、「今度こそ死なせない!」とばかりに助けに来た想い人は…
[良い点] 面白かったです! 火刑場でポールダンス!?(笑) 発想がとってもすごいです。 確かにそんな状況を見たら女神扱いしたくなるかもです! 楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。
[一言] なんか刑場に集まって来た人たちみたいにぽかーんって口をあけながら読んでました( ゜д゜) きっとすごいダンスだったんだろうなぁ。
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