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緊急事態なので友人(予定)との約束は早々に破ります。

たぶんこれから盛り上がって参ります(自分でハードルを上げておく)

シャルル殿下と私が同クラスで、次期宰相候補のクリフォードとオーレリア様はそれぞれ別のクラスだ。

私はクリフォードを迎えに行く。が


「……ん?」


教室の入口で中を一通り見たが姿がない。

彼といえばダークブラウンのいわゆるマッシュヘア、で、ツーブロックに刈り上げていたような。

あとはヘーゼル色の瞳をしてたはず…もう一度見回すがやはりいない様だ。

さすがに入口では邪魔だったのだろう、1人の女生徒に声をかけられた。


「あの、デジレ様」

「はい?…ああ、申し訳ありませんわ、すぐに離れます」

「いえ!そうかも知れませんが用件が違いまして」

「…?」


なんだろうか。とりあえず一旦廊下の端に移動してみる。


「クリフォード様をお探しなのですよね?」

「! ええ、そうなの。どこに行ったかご存じなの?」

「場所までは存じ上げないのですが…昼休みに入ってすぐに上級生に呼ばれて行ったみたいです。それで、その時たまたま近くにいた私に伝言を頼まれまして」

「なんて?」

「遅れて行くから先にテラス席に向かって欲しいと」

「分かったわ、ありがとう。そうさせて…」

「あの!1つ気になる事があるんです」

「気になる事?」


話を聞いて、伝言通り行こうとしたがまだ何かあるようだ。


「はい。呼び出しに来た上級生は腕章の色を見る限り3年生で、あまり柄の良くない方に見えました。そして…」

「そして?」

「皆周知の事実とはいえあまり大きな声では言えませんが、3年生にはシャルル殿下のお兄様、アンドレ殿下がいらっしゃいます。アンドレ殿下の普段のご様子から考えると、呼び出しに来た上級生はそのご学友ではないかと」

「え!第1王子って素行わる…」

「しっ、しーっ!」


思わず口を塞いだ。ごめん、だって本当に知らなくて。シャルル殿下のお兄様にあたる第1王子が在学中という事はさすがに知ってる。

でも柄の悪い奴らと仲良い素行不良とは知らなくて。なんなら皆知ってて当然とか…


「すみません、誰かに聞かれたらと思うと…ご無礼をお許しください」

「いえいえ!こちらこそ無知で恥ずかしい…」

「考えてみたらデジレ様がご存知ないのは仕方ありません。ずっとお忙しかったでしょうし…その、ご様子が変わりそういった話が広まり始めたのは入学されてからの事で。私も詳しくは分からないのですが…」


そう言って小声でぽつりぽつりと教えてくれたのは、不良あるあるなベタな内容だった。飲酒や喫煙、授業のサボり、不純異性交遊(婚約者がいるのに!)、賭博、気に入らない教師や生徒に脅しや嫌がらせをし、学園に来れなくしたり退学に追い込んだとか…

もしかしたら噂に背ひれ尾ひれがついてる可能性もあるけど、これだけの内容が挙がるって事は、本当に札付きの悪であってもおかしくない。

それで「立場」を利用してか周りも何も言えず放置状態なのか。きっとシャルル殿下は複雑だろうな…


「まあ…」

「その反応になりますよね…」


引いてる私を見て女生徒もほほ…と変な笑いを漏らす。


「……っと、それが本当ならクリフォードが危ないのでは?」

「可能性は十分あると思います」


王権を争う事になる弟の友人、次期宰相候補の秀才ときたら潰さない訳があるか。いや、ない。絶対にない。

こういう時の不良はたとえ頭が悪くても悪い知恵はよく働くはず!偏見だけど!


「そうよね、ありがとう!」

「え、まさか場所も分からないのに1人で行かないですよね?さすがに危険ですっ」


お礼を言ってその場を離れようとした所で問われた。

教師や他生徒が一緒に来てくれるとは思えない。かと言って急いでテラスに行ってシャルル殿下に助けを求めに行くっていうのも、恐らくクリフォードが大事にして波風を立てたくないが為に払った(間違った行動ではあるけど)自己犠牲を無駄にする事になる。

私がごく一般と同じくか弱い令嬢であったならすぐにシャルル殿下に助けを求めるはずだが、あいにく違っていて。


「大丈夫よ、ごめんなさいね心配かけて。本当にありがとう」


そう言うと1人で行かないから大丈夫と捉えたのか、女生徒は少し安堵の表情を浮かべた。


ーー「私が助けるから」大丈夫。

こういう時の呼び出し場所も大方予想はつくし、少しは危険な目に遭うかも知れないがたぶん相手もどうにか出来る。


問題は既に昼休みは半分過ぎようとしていることと、オーレリア様との約束を反故にしてしまうことだ。

けどこの状況はほっとけないし、助けた後でクリフォードに上手い言い訳を考えて貰うしかないか。


私は足早に校舎から出ることにした。

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