友人確保…!?
入学式の翌日から授業は始まった。
といっても最初は授業内容の説明といったところだ。
そうして1限が終わった後、クラスの男の子に声をかけられた。
「デジレ嬢」
「はい。………!?」
アッシュブロンドの髪に薄緑の瞳…といったら1人しかいない。
「シャルル殿下?」そう、この国の第2王子である。
「突然で申し訳ない。オーレリア…私の婚約者なんだが、君と話がしてみたいと言っててね」
「もし都合が良ければ今日の昼食を一緒にどうだろうか?彼女と私、あとはクリフォード…あの次期宰相候補も付いてくるが」
…本当突然で驚いたしオーレリア公爵令嬢が?私と話したい?いやいや友人に困ってなさそうなのに何故?とは思ったけど初日から周りに声かける勇気はなかったからこれで交流の輪が広がれば願ったり叶ったりだ。ただ、錚々たるメンツなので粗相だけは起こしてはならない…それだけは肝に銘じておこう。
「私のような者が恐縮ではありますが、喜んでご一緒させて下さい」
と、答えると殿下は少し呆れたような顔をした。
「いやいやデジレ嬢…君、自分を卑下する要素一切ないからね?幼少の頃から国民のために尽力してきた立派な臣下だから」
「オーレリアなんかやっとまともに話が出来るかも知れないって入学前から喜んでたよ?」
「君舞踏会に来ても最低限の挨拶が済んだら姿くらませてただろう。ここ1年なんかは仕方がないとしても王都にすらいない事が多かったし」
「返す言葉もありません…」
人見知りのせいで挨拶が済んだら中庭とかに逃げ出していたのだ。でも殿下に認めて貰えているのは素直に嬉しい。
「まあ昼食一緒にとれるなら良かった。そしたら4限が終わった後食堂のテラス席で。オーレリアとクリフォードには後で伝えておくから、クリフォードと来たらいいよ」
「分かりました」
話が済むと殿下は席に戻って行った。
オーレリア様と友人になれるといいなあ…などと昼食に思いをはせていたらあっという間に昼休みが来ることとなった。授業は半分もまともに聞いてないけど、どうせ内容説明が主だから大丈夫という事にしよう。