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王宮では、ビアンカは協力者ということもあり上等な来客室に通された。
全員の証拠等、場が整った為両陛下も見届ける中で主にメリーアンの取り巻きの弁明が始まった。
第一声を上げたのは言わずもがなメリーアンで、父親である男爵が横領の罪で既に捕まったと知ると自分は関係ないと叫んだ。
「ウォル様は騙されているのです!ビアンカの魔力量がこんなに多く、戦闘慣れしているのは魔王と契約しているからなのですよ!そのうち魔族と結託してこの国を滅ぼすのです!私が聖女で、ウォル様やみんなと協力してこの国を救ってみせます!」
「言いたいことはそれだけ?君の罪を軽くする最後のチャンスだったんだけれど」
静まる中答えたのは、王太子の底冷えした冷静な声だった。
その場にいる誰もが固まり、動けずにいた。
「この場だから公にするけれど、ビアンカは大精霊と契約しているのを両陛下も私も確認している。魔力量はそのためで、戦闘慣れという意味では膨大な魔力をコントロールする為に日々研鑽したためだよ。そこにいる騎士団長の息子も歯牙にかけないほどにね」
「っ…」
「何よ…、何で、何でその女がウォル様に守られてるのよ!おかしいわ!こんなのシナリオに全然なかった!」
その後も喚き続けるメリーアンは、陛下が手を振ったことにより父と同じ牢に連れていかれた。
ここに残った取り巻き達は、メリーアンが姿を消したことにより違和感を感じ始めていた。
そこで1ヶ月ほどの自分達の言動を水晶玉を通して見せると、皆一斉に顔を青ざめ膝をつき苦しみながら謝罪をしたのである。
「両陛下に、この者達に鑑定をかける許可をいただきたくございます」
頷いた皇帝に宮廷魔導士が歩を進め手を翳した。
それぞれの持ち物1つずつに反応を見せ、それは詳しく鑑定に回されることが決定した。
その後はハインツと同じように、苦しみから解放され、弁明を続けた。
ハインツのような能力があるわけではないが、違法な魔法道具により操られていたと証明されれば法で裁かれることはないだろう。
鑑定結果が出るまでの1週間は、それぞれの領地での謹慎が約束された。
あれから1週間が経ち、それぞれの魔法道具に魅了以上の洗脳作用があることが証明された。
後の者は比較的軽く、根性を叩き直すという生家からの処分が殆どで、未来を潰すようなものは出なかった。
一方で、ベリアル一族は国外追放となった。
学園内は落ち着きを取り戻しつつあったが、ビアンカには心を痛めることがあった。
(ああ、どうしてハインツ様は眼鏡をやめてしまわれたのかしら…こんなことならコンタクトなんて開発しなければよかったわ)
王太子から、よく眼鏡を失くしてしまう友人がいて困っていると相談され、ビアンカは前世でコンタクトを使っていたことを思い出したのである。
消毒を欠かさなければ眼鏡より手軽だと答えれば、王太子はそれはそれは嬉しそうに笑って、さっさとハインツをコンタクト姿にしてしまったのである。
日々嘆くビアンカに、王太子からの鞭が強くなったのは言うまでもない。
「私と2人きりなのに、他の男のことを考えるなんてはしたないよ」
「あ、も、申し訳ございません…っ!はしたなくて、その、お許しくださいませ」
そう言いながら手を差し出すビアンカに、王太子は笑みを強めた。




