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ビアンカの魔法により、包み隠さずスムーズに話せるようになったハインツ。
メリーアンによって割られてしまった眼鏡の代わりに、プレゼントだと今の眼鏡をもらったことを話した。
「眼鏡は高価だし、予備も含めて2つもすぐにあげられる財力が男爵にあるとは思えない。眼鏡がまず怪しいね、鑑定にまわそう」
こうして王宮にて報告後プレゼントされた眼鏡は魔道士たちに鑑定を頼むことになった。
「グリードと私は王宮に行くけれど、ビアンカはさっきの魔法と傷で体力も消耗しているだろう。家に帰ってゆっくり休むように。護衛に送らせるよ」
「いいえウォルシュタイン様。私はテレポートが使えますので、魔法で家まで一瞬ですわ。その必要はございません。どうかお気を付けていってらっしゃいませ」
テレポートも前世の知識から編み出したビアンカ独自の魔法である。
王太子とは一緒に使ったこともある為、しぶしぶだが頷いた。
「じゃあすぐにテレポートで帰るんだよ」
深く頭を下げたハインツとなかなか馬車の扉を閉めようとしない王太子を送り出し、深く息をつく。
そんなビアンカの背中を、遠くから突き刺すように見つめるメリーアンがいた。
王太子とハインツが乗る馬車の中にて。
王太子やその婚約者に対してとんでもない言動を取っていたハインツは、そのことを深く反省し後悔していた。
あのような女に良いように操られるとは、浅はかである。
悔やむハインツに、王太子は許すと一言。
それで2人の間には、十分であった。
「ありがとう、ございます…ウォルシュタイン様、これからはこの力を惜しまず貴方を支えることを誓います」
ハインツには、幼い頃から魔法とは少し違う特殊能力があった。
人を見ると、その人がどのような考えを持っているのか、どのような感情を抱いているのか大体わかってしまうのである。
そのため裸眼でいると眼球への負担が大きく、見定めの時以外は眼鏡をかけることを義務付けられていた。
ビアンカへの見定めは6歳の時、婚約を結ぶときに使って以来、王太子から禁じられている。
その理由は言わずもがな、ビアンカの性癖のせいなのだが、ハインツは王太子への尊敬から愛情ゆえだと信じてやまない。
「ありがとうグリード。しかし、前から言っているようにビアンカには今後一切使わなくて良い。あの子は私に害をなすことはないからね。君と同じように信頼している」
「はい…っはい、!ありがとうございます…!」
「今後の働きに期待しているよ。――しかし、今はビアンカの魔法で効果が消えているとはいえその眼鏡はもう使えないだろう。あとで用意させるからそちらを使うように」
「承知致しました。ありがとうございます」
王宮に到着し両親に報告後、水晶玉の証拠やハインツの証言を元にベリアル家の者とその取り巻きの捕縛許可を得て眼鏡を鑑定にまわした。
取り巻きに関してはハインツと同様操られている可能性が高いため、洗脳が解けた後の対応で処分が決まる。
ハインツは能力のこともあり、誠心誠意仕えるという非常に甘い処分だった。
そしてここまではスムーズだったが、鑑定には1週間ほどかかる。
その間に何もなければ良いが、と王太子の胸に不安がよぎっていた。
ビアンカの傷は魔法で治したが、一応お見舞いに行こうと水晶玉を通りビアンカの様子を見て、王太子とグリードは目を見開いた。




