2.新しい名前
私は人間ではなくなってしまった・・・
では私はなんなんだろうか?
「あの、私は何に生まれ変わったのでしょうか?」
『ん?ああ、まだ自分の姿を見てないよね。ほい』
魔法か?魔法なのか?鏡がいきなりあらわれた。興奮する気持ちを押さえて自分の姿を見る。
「これは、妖精っぽい?小人?」
『私の直系眷属だからね!奮発したわ!妖精の最高位種のスプライトっていうのよ!』
某炭酸ジュースしか思いつかないがすごい種族のようだ。日本人っぽい黒髪だけど顔は生前の私より断然美人さんだ!うん!気に入った!
「それにしても周りはすべてが巨大ですね、ここは巨人の森?ですか?」
『ん?そんなことないわよ、なぜならあなたが小ちゃくなっちゃったのよ。見て!30cm定規の半分ないのよ!小ちゃくて可愛い!!』
どこからか30cm定規を取り出して私の横におき、唖然としている私を放って可愛いとまくし立てるように喜ぶ神様。
身長15cmだと!何をどうすればいいんだ!
『まあまあ、今日生まれたばかりだからさ、成長すれば30cmくらいには大っきくなるから!』
30cm!?大根より小さいじゃないか!地団駄ふんでいる私を見て、嬉しそうにウフフしている神様を見て思う、この人はダメな方に分類される人だ!
『さてと、次はあなたの名前を決めなくちゃね』
「名前ですか?畑中 愛じゃダメなんですか?」
『そりゃあ、畑中 愛はすでに亡くなってるから、遺体も見つかって火葬されちゃってるからね、存在してはいけないのよ。もう1年も前になるかしら』
遺体が見つかり火葬まで・・・今ようやく死んだのだと実感した。私が死んでから夫も義父母も平穏に暮らしているだろうか?少し感傷的な気分になった。
『あっ、心配しないでね!旦那さんは数ヶ月前に幼馴染ちゃんと再婚したみたいよ!全壊した家も新築して綺麗になったし!近いうちに子供も出来そうよ』
すべてがぶち壊しじゃ!この駄女神!!
『新しい名前か〜そうだなぁ〜愛ちゃんだからラブちゃんとかは?』
「却下!却下!恥ずかしくてそんな名前は名乗れませんって!」
私が歯牙にもかけないと神様は頭をひねる。
『ラヴとか?』
「ブがヴになっただけじゃないか!」
愛の字をどうしてもモジりたいらしい。
『うーん、じゃあ私の直系眷属らしく私の名前「セルリス」っぽくして・・・セルラヴ・・・は?』
「なんか語呂悪いし、というかラヴは決定なのね、」
『じゃあ、ラヴリス!ちょっとモジッてラヴィリス!うん!いいね!これで決定!』
「・・・わかりました。これからそう名乗ります」
思ったよりいい名前が来てビックリした、思ったより駄目ではないようだ。
『そろそろ時間ね・・・』
・・・確かに疲れてきた。
ようやくお開きの雰囲気になってきたが、ふと疑問に思った、
「私はこの世界で何をすればいいんですか?」
『えっ?・・・さあ?』
・・・私は何をすればいいのだろうか。
『そ、そうだ、とりあえず私、大地の女神様の崇拝者を増やす信仰活動をして!そう、それがいい!』
さあ!胡散臭くなってまいりました!
『私の素晴らしさを世界に広げるの!』
今さっき知り合ったばかりなのに、素晴らしさをどうやって広めるの?まだ出会って数時間よ?
『つ、ついでに、他の女神の崇拝者をこちらに引き込むのよ!シェア拡大が最重要課題なの!』
単なる農家の嫁に何をさせるつもりだこの神様は、宗教活動もセールスも営業もやったことないのに。
「わ、わかりました、頑張ってみます。でも、あまり期待しないでくださいね・・・」
一応了解しておくけど、多分出来ないだろうな、そういうことをさせたいなら記憶とか残しておくなっていうんだ!
『ありがとう、無理せずほどほどでいいからね』
納得してくれたようだ。
当面の目的・・・布教活動!!