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「ええ〜参加しないんですか!?」

「すまんな、ちょっと調子が合わなくて……」

「そうですか、残念ですが仕方ないですね。お大事に」


 レイドの合同会議に俺がいないことに気づいたポチョムキムキンが、連絡を入れてきた。調子が合わないってのを、体調不良と受け取ったようだが誤解をとくのも面倒なので通信を終える。

 会議も2回目で、今日はフレイアちゃんが降臨しなかった事もあり、つつがなく終了したらしい。


 まとめスレで流れを把握しながら、夕食を採り終えての夜。

 ゲーマーには本番の時間とも言える。


「さて、試させてもらうか。新型の性能とやらを」

「ふふふ、マスターの出番を奪いますよ」


 シーナがやる気を見せてくる。

 新型の遠隔制御ユニットに積み替えたファルコンを従えて、俺は第3惑星の輪っかを目指す。実力を見るには多数のゴブリンが湧くあそこが分かりやすく、危険も少ないだろう。




「フォーメーション、トライアングルスパイラルッ」


 その名の通り3機が三角形を作り、螺旋を描くように小惑星群へと突入する。射撃精度は初心者ニュービーレベルだが、シーナ1人で操る3機の連携は乱れがない。

 障害物の多い小惑星群の中を距離を保ちながら陣形を組み、現れるゴブリンを屠っていく。1機では半分くらいの命中精度だが、3機が連携して攻撃する事でその粗さを補い、次々に撃破できている。


「一撃で落ちるゴブリンだからとはいえ、かなり撃破率が上がってるな」


 射撃精度が修正された直後のわざと外してるっぽい状況からは改善されて、ちゃんと戦えるレベルになってきた。

 もちろん、俺が攻撃するより戦闘力は劣り、3機合わせても五分とまではいかない感じではある。


「それでも戦術に組み込めるレベルではあるな」

「まだまだ、ここからですよっ。フォーメーション、サークル」


 最後に現れるボスゴブリンを中心に、円を描くようにスライドしながら攻撃を仕掛ける。逃げ場のないボスは反撃を試みるも、射撃速度の遅い投石では、ファルコンの横移動についていけず、一方的に撃破されてしまった。


「ま、序盤のボスならこんなもんか」

「むう。戦うたびに調整して強くなりますよ!」

「とりま、汎用素材を回収して帰るか」


 制御ユニットがバージョンアップした事で、今まで3機だった制御数が4機に拡張され、ファルコン部隊を連れたままマンタも1機連れて来れるようになっていた。

 これで鉱石の採取効率も上がりそうだ。


「ついでにカニもやっとくか」

「どんとこーい」


 マンタが採掘している間に、レア鉱石を守護するカニとも戦わせてみることにした。




「どんまーい」

「いや、自分で言うセリフじゃないだろ」


 カニに対してもボスゴブリンと同じくサークル陣形で挑んだシーナ。正面からの粒子砲は泡でブロックされるので、背面を狙ったのは良かったんだが、カニのハサミから繰り出される次元断層攻撃に被弾してしまった。

 一撃で撃墜されるほどではなかったが、シールドを回復するまで戦線離脱。2機での攻撃になったが、そうなると背面に回った機体の命中精度が足りず、逆に2機目の被弾。

 さっきやられた機が回復して戦線に復帰するも、膠着状態に陥ってしまった。

 仕方なく俺が介入して、高速振動剣で撃破する。


「ゴブリン以上カニ未満ってとこだな」

「経験を積めばもっと戦えるようになります!」

「その辺は追々期待するとして、今は程々でな」

「むう」


 そこまで確認して、一度ステーションへと戻る。ファルコンのダメージを回復させてから、今度は俺との連携を確認することにした。




「じゃあ作戦通りに」

「了解です!」


 ファルコン編隊を操作するシーナは活き活きとしている。元々サポートシステムとして、戦闘しない俺に対して引け目を感じていたようなので、一緒に戦えるというのは願ってもない事なのだろう。


 連携の確認に選んだ相手はタランチュラ型他次元生物だ。毛むくじゃらの足は粒子砲を阻害し、致命傷を与えるには脚を避けて本体を狙っていかないといけない。

 命中精度がイマイチなファルコン部隊ではそんな芸当はできないが、それでも相手の気を引くことはできる。

 ファルコンに先制をしてもらい、注目を集めたところで俺がハミングバードで接近。高速振動剣で仕留めるか、脚を減らすかしていく作戦だ。


 タランチュラ型は数がまとまっているので、塊を解すように三方から攻める。それぞれに牽制射撃を行って、ヘイトを集めると程よい距離を保って逃走。

 蜘蛛は糸を射出してきたり、回転アタックを仕掛けたりと正面から戦うと油断できない。ただ上下方向からの攻撃には無防備になるので、ハミングバードの機動力を活かして、下方から脚の付け根を狙って高速振動剣を撃ち込んでいく。


「カニ装甲のおかげで機体も軽くなってるから、前よりも楽だな」

「マスター、早く早く〜」


 3機を同時に操っているシーナは、視線を方方に飛ばしててんやわんやといった雰囲気だが、それでもどこか楽しそうに見える。


「よし、次だな」


 蜘蛛の撃破を確認して、ファルコンの位置を確認。追われている進路と交差するように機体を運ぶ。ファルコンに夢中になっているタランチュラの死角から剣を撃ち込み狩り取る。

 カニに対しては、攻撃を考えての移動だった分、回避がイマイチだったが、逃げを主体にした場合はそこまで被弾する事もないようだ。

 俺がタランチュラの数を減らすうちにシーナの方にも余裕ができてきたようだ。


「フォーメーション、クロスボーン」


 追われている2機のファルコンの軌道を交差させることで、互いを追うタランチュラを正面に捉えて攻撃する事もできるようになっていた。

 粒子砲とミサイルを使い分け、脚を減らして撃破しやすくしていき、何度目かの交差で撃破に至る。


「堕ちろカトンボっ」

「蜘蛛だけどな」


 ノリノリのシーナに苦笑しながら、シーナが2機を操って撃破する間に、残る1機を追いかける蜘蛛を仕留めていく。

 自分を認識していない蜘蛛の死角から接近、撃破していくのは、やや緊張感に欠ける展開にも感じたが、パーティプレイってこんなものかな。


「これで終わりですっ」

「はいはい、お見事、お見事」

「マスター、そこはちゃんと褒めて下さいよ」


 特に危ない局面もなく、十数匹の蜘蛛を殲滅する事ができた。これなら新星系の探索にも連れていけそうだな。

 昨夜は遅くまでログインしていて、朝に朦朧としていたから早めに落ちる事にする。


「じゃあ、明日は新星系で」

「了解ですマスター、おやすみなさいませ」

ようやく対馬をクリア。仁王2に突入。

個人的には敵のバリエーションの多い仁王の方が好きかな。

STGみたいに自機を強化しながら進めるシューティングゲームはないだろうか……。

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