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 撃破任務は現在A〜Dのランクに分けられている。Aが最高難度で劣勢の状況、相手が多かったり、防衛対象がいたりと失敗しやすい状況での任務になっている。

 Bで大体同じくらいの戦力。ソロの場合は相手が多い場合もあるが、その分相手の機体は弱かったりするらしい。

 AやBでは敵の姿が見えない状況から始まるので、索敵能力も問われる事になる。


 Cは1対1での戦闘で、敵の強さは任務によって選べる。敵の姿はレーダーで捉えられた状態から始まるので、純粋な戦闘力による勝負になっていた。


 Dは条件的にCと変わらないが、模擬戦となっていて、ダメージを受けても自機に影響しないテストプレイになっている。

 初心者の練習用の他にも、新装備を試したりにも使われているようだ。



 基本的には、どのランクの任務にも参加する事は可能だ。ただAやBには多人数で挑むマルチ任務もあり、そうした場合に参加プレイヤーの技量で制限されている事もある。


 プレイヤーの技量は、撃破任務をこなした際に貰える戦果ポイントや成績で定義されていて、A〜Fの階級に分けられている。

 Cまでは戦果ポイントだけで順次昇格していくが、B以上はこなした任務の難易度やそのクリア率で昇格が判定されている。

 まだ撃破任務をしたこともない俺は当然Fからの開始だ。


「あれ、なんで階級がEになってるんだ?」

「名付海賊を撃破したからです」

「ああ、なるほど。でもほとんどフウカが倒したようなモンなのにな」

「与えたダメージ量で戦果ポイントが振り分けられています」


 最初のうちに与えたダメージと1機撃墜で半分くらいの戦果ポイントを貰っているということか。それで一気にEに上がってるって事は、それなりの強さだったって訳だな。



 さて実際に撃破任務を受けてみる。まずはDランクの任務から。相手は基本となるファルコン型にしようか。場所はこっちに有利だけど小惑星帯で。


「フウカと思って、メタメタにしてやりましょう」

「フウカだと思ったら勝てる気しなくなるよ」


 フウカの何がこんなにシーナのヘイトを溜める結果になったのか。やっぱり、AIとしては会話してくれない相手は嫌いなのかね。



 こちらの機体はもちろんハミングバード。コックピットへと移動して任務開始を選ぶと、チュートリアルのシミュレーターと同じように急に宇宙空間へと切り替わる。余計な演出のカットは盛り上がりに欠けるが、何度もプレイする事を考えると好感が持てるかもしれない。

 サブディスプレイに開始までのカウントダウンが表示されていて、多分20秒からタイマーが進んでいる。

 その間にレーダーで相手の位置と、周囲の小惑星の位置を頭へと叩き込む。


「5秒前、3、2、1……開始です」

「オーライ」


 シーナのカウントダウンと共に、一気に加速する。ハミングバードの加速力は戦闘機の中でも随一、同じ様に加速し始めている相手に対して、自分が有利な位置を確保する。

 小惑星の影から飛び出しながら粒子砲を浴びせていく。しかし、元々火力が低いハミングバードを更に弱体化させている小口径の粒子砲1門では、そう簡単に致命的なダメージは与えられない。

 被弾しながらもこちらに向きを変えて攻撃を開始したファルコンに対して、こちらは小惑星を盾に回避する。

 そして相手の側面へと移動して攻撃を再開。着実にダメージを積み重ねていく。


 戦闘中のダメージには2種類あって、基本的には船体を覆うエネルギーシールドにダメージが入る事になる。

 これを削りきるか、シールドで守りきれないダメージを与えると、本体ダメージが入る。

 本体ダメージは場所によって宇宙船の性能に影響が出てくる。武器にダメージを受ければ使用不能になったり、バーニアがやられると加速性能が衰えるといった具合だ。


 ハミングバードの豆鉄砲では中々エネルギーシールドを突破できない。着実にダメージを与えて、シールドを削りきった過負荷状態に持ち込むにも時間が掛かる。

 そこで活きてくるのはもう一つの高速振動剣ぶそうだが……。


「やっぱり、動き回ってる相手に近づくのは難しいね」

「簡単ならもっと白兵武器が使われてます」


 シールドの内側に入って攻撃できる白兵武器は、当てさえすれば必殺になりうる。しかし、その当てるのが難しかった。



「スピードではこっちが勝ってるから、追いかければ当てられそうなんだが……」

「舵を切られる時にその動きに追随できないと、一気に距離ができてしまいますね」


 宇宙空間のドッグファイトは、相対速度が早く、しかも平行移動もあるので、距離を詰める事が中々できない。

 地形を含め、相手の動きを読みながら体当たりを仕掛けるように斬る……うん、難しいね。


「一瞬でも相手の足を止めれる装備があれば良いのかなぁ」

「といいますと」

「電磁ネットみたいな相手を絡め取る感じの武器」

「レールガンには、粘着弾というのがありますが」

「ふむ〜」


 などと呑気に会話できるくらい戦況はワンサイドだ。機動力に勝るハミングバードで、相手が攻撃できない範囲に動き、時に小惑星を盾にしてと、一方的な状況を作れている。

 ただ決定打が無いために、ズルズルと長引いているだけだ。


 レールガンのデメリットは、弾速の遅さだが、それはドッグファイトの距離まで来ると関係ない。銃口の向きから攻撃範囲を予測はできても逃げ続ける事はできないだろう。

 問題となるのは、実体弾だけに弾数に制限がある事。装弾数を増やそうと思ったら、ベア型のように機体が大きくなってしまう。


「一発の弾を使い回すとか……」

「というと?」

アンカーを撃ち込む」


 レールガンの弾にワイヤーの様な物を付けて、相手に撃ち込み、当たれば巻き取って高速振動剣で斬り、外れたら回収してもう一度使えるようにする。


「それだと多数を相手にできませんね」

「だなぁ」


 ゴブリンなどの小口径粒子砲でも一撃で倒せるような相手との戦闘では、巻き取ってるラグが発生するのは致命的だ。

 サブウェポンとしてなら問題ないかもしれないが、主武装で弾数が少ないというのは戦えない。


「という事は、高速振動剣を飛ばせばいいのか」

「高速振動剣を飛ばそうとするなら、刀身は今よりも短くしなければならないかと」

「それは仕方ないかな。射程が付いた分、攻撃自体はし易くなるはずだから」

「ただマスターの目的である採掘に使用するという部分が、更に困難になるかと」

「むむむ」


 確かに刀身が短くなると、それだけ小惑星に近づかないと駄目になるし、切り開く範囲も狭くなる。採掘用としては使い道がなくなりそうだ。


「戦闘機は戦闘がメインだから、戦闘力を上げる方が優先かな」

「そうだと思います。まあ、私は最初から採掘にこだわる方がおかしいと申し上げていましたが」

「ぐぬぬ……」


 次のプランを決定する間に、いよいよファルコンのシールド耐久度が限界を迎える。バーニア部分へと直撃し、ガクッと速度が落ちたところで高速振動剣で斬りつけて一気に撃破した。



「報酬は参加賞程度だね」

「Dランクですので」


 戦果ポイントもコストも全然もらえない。戦闘評価も無傷ながら時間がかかり過ぎたのでD判定。ファルコンとハミングバードを比べると、ハミングバードの方が格上になるので、その点のボーナスもなかった。


「実際に戦うと見えてくる部分も多いし、有意義ではあったけど」



 という事で早速、高速振動剣の射出機構の開発に入る。機体の下部にレールを引いて、リニアカタパルト式に撃ち出す事にする。

 刀身は現在の1/3へと短くし、エネルギー供給も兼ねたワイヤーで繋ぐ。巻き取れば再度使用可能だし、エネルギー供給部を本体側に持つことで、巻き取る時はエネルギーをオフにして、自機が斬られるなんて馬鹿な真似も防げるようにする。


 射程はワイヤーの長さで変えられるが、ひとまず100mで設定。弾速はレールガンよりも遅くなるが、その分消費エネルギーも抑える事ができるので、ハミングバードに搭載可能となるはずだ。


「ひとまずこれで開発しよう。素材はゴブリンリーダーのコアが貯まってるからこれで」

「はい、マスター」


 切りもいいので、ここでプレイを終了した。

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